グリーのDeNA提訴、ソーシャルゲーム勝ち組バトルに焦りの影
急成長を遂げたIT企業同士のつばぜり合いが激しさを増している。
ソーシャルゲーム大手のグリーは11月21日、提携するKDDIと共同で、「モバゲー」を展開する同業のディー・エヌ・エー(DeNA)を相手取り、ゲーム制作・提供会社に圧力をかけ取引を妨害したとして、計10億5000万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、DeNAが昨年夏、ゲーム会社に対してグリーに作品を提供した場合は「取引ができなくなる」と勧告したというもの。この問題では昨年12月に公正取引委員会がDeNAに立ち入り検査。今年6月に独占禁止法違反(取引妨害)に当たるとして排除措置命令が出ている。
21日会見したグリーの田中良和社長は、その後も同様の行為が続いていることを提訴の理由に挙げ、「公的機関から処分を受けたにもかかわらず、被害の範囲はサーバー会社や決済会社、広告代理店などへむしろ拡大している」と怒りをあらわにした。仮に排除措置命令違反となれば、「経営者に刑事罰が与えられる」(公取委事務総局審査局)。
一方、DeNAはグリーの言い分を真っ向から否定。「独占禁止法に違反する事実はない」と断言する。
他社への開放で急成長
今回の問題が発生した背景には、ソーシャルゲーム拡大の起爆剤となった“オープン化”がある。DeNAが昨年1月、自社制作のみに限定していた「モバゲー」を他社にも開放。中小のゲーム制作会社がこぞって提供開始した。
出遅れたグリーも同年6月にオープン化で追随。その際、DeNAに提供していたあるゲーム会社は、「うちにつくのか、グリーにつくのかとDeNAから強い口調で迫られた」と指摘。「グリーに提供を始めた途端、モバゲーのトップ画面に出るランキングからコンテンツの表示を外された」と被害を訴えている。