あなたにも出来る!社労士合格体験記(第41回)--病院のベッドで、本試験のカウントダウン

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派遣労働者の特例

社労士試験でよく問われるのが、派遣労働者について、派遣元と派遣先のどちらが責任を負うのかという論点です。派遣労働者と雇用関係にあるのは派遣元事業主のため、原則としては、派遣元が労働関係の法律の義務の主体となります。しかし、派遣労働者に指揮命令をするのは、派遣先事業主ですから、法は適用の特例として、一定の事項について派遣先に責任を負わせることを認めています。

特に、労働安全衛生法では、労働者の安全、衛生が絡んでくるため、派遣先に責任を負わせる必要が出てきます。「安全衛生体制」「安全衛生教育」「健康診断等」について、それぞれ個々に独特な扱いがなされているので、受験生にとっては頭の痛いところです。

まずは大づかみにすると、「安全衛生体制」では安全だけが絡む場合は派遣先、衛生も絡んでくる場合は派遣元・派遣先双方が責任を負います。そして、「安全衛生教育」では雇入時は派遣元、特別なものは派遣先、作業内容変更時は派遣元・派遣先の双方の責任です。最後に「健康診断等」では、雇入時や定期の健康診断のような一般健康診断と面接指導は派遣元、有害業務に従事する労働者に適用する特殊健康診断は派遣先、健康診断実施後の措置は派遣元・派遣先双方になります。

頭が混乱してしまった方は、とりあえず「派遣元、コイツメ」と覚えましょう。すなわち、「派遣元だけ」の責任になるのは、雇入時の安全衛生教育「コ」、一般健康診断「イツ」、面接指導「メ」で、それぞれ頭文字になります。

次回は、一難去ってまた一難です。

【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】

翠 洋(みす・ひろし)
 1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。Mr. MISU国際行政書士事務所、中央社労士オフィスみす開設。現在は、LEC講師として社労士「新合格講座」「人事労務基礎科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」。

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