社員の可能性を見抜けない「無能人事」の哀しみ 人事は長期的に物事を見なくてはいけないのだが…

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

採用の先には、その人の人生があります。配置の先には、その人のキャリアがあります。人を採ったら「はい終わり」ではないのです。会社で働く人は、その先に何を目指しているのか、次に向けて今その場が意味のあるものになっているのか。「どうしたいの?」「将来はどうなりたいの?」と問いかけ、常に考えてもらい、それらを異動や配属に反映させていくのです。

経営者の視点を常にそばで聞くことができる

その人の将来を考えたら、絶対に異動をさせるべきといった場合があります。逆に仕事ができず逃げ出したくて異動したい人もいます。そこを見極め、「人事としてはこうしたい」と強い意思を持って現場と交渉します。それが必ずしも実現するとは限りませんから、「今年はできなかったけど、来年は必ず実現するぞ」と思いながら仕事を続けていくことも大事になります。

人事異動案を実現させるために必要なのは、経営者のバックアップです。経営者と話をして「彼を異動させたら部署の直近の業績は下がるかもしれませんが、長い目で見たら今やらないとダメなんです」といったことを伝えて、異動や配置について働きかけていきます。

経営者との対話は、できれば避けたいものです(ですよね?)。それでも経営者の話は聞かなくてはいけません。喧嘩もしなくてはいけません。責任あるポジションについたら、正しいと自ら信じることに対しては、相手が社長でも役員でも管理職でもきっぱりと言わなくてはならないのです。経営者といつも意見が一致し、お気に入りであり続けるのは難しいですから、ある程度の覚悟が必要です。私も人事部長時代は常に辞める覚悟で仕事をしていました。

企業経営において長期的なビジョンや中長期的な戦略を最も考えているのは、やはり経営者です。経営者の視点を常にそばで聞くことができるのは、ビジネスパーソンとして大きな学びになります。これは人事担当者ならではの貴重な機会ともいえるでしょう。

次ページ個人の可能性を広げていく
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事