社員の可能性を見抜けない「無能人事」の哀しみ 人事は長期的に物事を見なくてはいけないのだが…
人事部門には、社内の人の流れ(人材フロー)をつかさどる「人事・採用」、給与や福利厚生および規定関連の業務をつかさどる「給与・厚生」、評価制度と社員教育をつかさどる「育成・評価」という3つの機能があります。その他、これらの「企画機能」があります。
可能性を見極める力がなければ人事はできない
その中でも「人事・採用」という仕事は、「可能性に賭ける」ものといえるでしょう。会社の、そして、個人の可能性を広げていく仕事です。
「その人」を採用するということは、「その人の可能性を最大限に引き出し、能力を発揮してもらい、そして会社に利益をもたらす」であろうと判断して行われます。異動・配置も同じです。「その人」の異動は、「次の部署で活躍する、より飛躍する」かもしれないと判断して行います。それが成功すれば「しめたもの」です。そして、そういう場面を見ることが「この仕事をやっていてよかった」と、人事担当者として意義を感じられるときです。
一方、「可能性に賭ける」ということは「失敗もある」ということです。私も入社や異動を口説いた結果、多くの成功もありましたが、失敗もありました。入社後まったく化けない、異動しても変わらない、問題社員化する事例もありました。
しかし「失敗を恐れて無難にこなす」という考えでは、人事の仕事は務まりません。その結果として、会社は何も変わりません。ですから「可能性に賭ける」という意識をぜひ持ってください。その上で、自分自身の「可能性を見極める力」を研ぎ澄まして、高めていってください。多くの成功例を積み上げていく、それがこの仕事の意義なのです。
また、組織がしっかりしていないと評価も育成もできません。「1人で8人の部下までしか見られないから、こういう組織単位にしましょう」「部と課の機能を明確にしましょう」といった提案ができるよう組織論も勉強しておきましょう。管理職であっても組織論を知っている人は意外と少なく、中小企業は部と課の違いも曖昧だったりするケースが多いです。
組織づくりに携わり、会社全体を正しくしていくことに関わる立場になれば、人事の仕事はますます面白くなります。会社の成長を促す。それが人事という仕事なのです。
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