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明治神宮外苑の再開発による「樹木伐採」に反対した研究者が繰り出す「次の手」とは。緑地は社会の共有財産/『緑地と文化』石川幹子氏に聞く

東京・明治神宮外苑にて(撮影:梅谷秀司)
[著者プロフィル]石川幹子(いしかわ・みきこ)/中央大学研究開発機構・機構教授。1948年宮城県生まれ。94年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。慶応大学環境情報学部教授、東京大学大学院工学系研究科都市工学科教授などを経て現職。著書に『都市と緑地』『グリーンインフラ』など。
[著者プロフィル]石川幹子(いしかわ・みきこ)/中央大学研究開発機構・機構教授。1948年宮城県生まれ。94年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。慶応大学環境情報学部教授、東京大学大学院工学系研究科都市工学科教授などを経て現職。著書に『都市と緑地』『グリーンインフラ』など。
東京・明治神宮外苑で2024年10月、反対運動の中、再開発事業による樹木伐採が始まった。その現場には計画に異を唱えてきた研究者の姿があった。再開発はなぜ問題なのか。都市の緑地をめぐる自身の研究・実践を足場に提起する。
──神宮外苑で事業者(三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事)が神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替え、オフィスビルなどを新設する再開発計画において、樹木が伐採されると知ったのはいつですか。
21年11月、委員を務める新宿区都市計画審議会で、外苑再開発計画の模型が出てきたとき驚いた。超高層ビルがニョキッと立っていて、木がない。計画に「木を切る」とは一言もなかったが、模型を見れば伐採が行われるのは明らかだった。私は外苑のどこに木があるのか知っていた。
50年以上前の大学生の頃から、明治神宮の内苑・外苑を「こんなにすばらしいデザインの緑地はない」と思って見てきたからだ。
具体的な伐採内容が示されない中、再開発計画を審議する東京都都市計画審議会は22年2月に迫っていた。自分で調べるしかないと元日に決意し、翌日から計画図面を手に歩いて一本一本確かめた。1000本もの木が伐採されるとわかり、理事を務める日本イコモス国内委員会(ユネスコ=国連教育科学文化機関の諮問機関)から計画を見直すよう提言した。都の審議会の2日前のことだ。
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