[著者プロフィル]石川幹子(いしかわ・みきこ)/中央大学研究開発機構・機構教授。1948年宮城県生まれ。94年東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。慶応大学環境情報学部教授、東京大学大学院工学系研究科都市工学科教授などを経て現職。著書に『都市と緑地』『グリーンインフラ』など。
──神宮外苑で事業者(三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事)が神宮球場と秩父宮ラグビー場を建て替え、オフィスビルなどを新設する再開発計画において、樹木が伐採されると知ったのはいつですか。
21年11月、委員を務める新宿区都市計画審議会で、外苑再開発計画の模型が出てきたとき驚いた。超高層ビルがニョキッと立っていて、木がない。計画に「木を切る」とは一言もなかったが、模型を見れば伐採が行われるのは明らかだった。私は外苑のどこに木があるのか知っていた。
50年以上前の大学生の頃から、明治神宮の内苑・外苑を「こんなにすばらしいデザインの緑地はない」と思って見てきたからだ。
具体的な伐採内容が示されない中、再開発計画を審議する東京都都市計画審議会は22年2月に迫っていた。自分で調べるしかないと元日に決意し、翌日から計画図面を手に歩いて一本一本確かめた。1000本もの木が伐採されるとわかり、理事を務める日本イコモス国内委員会(ユネスコ=国連教育科学文化機関の諮問機関)から計画を見直すよう提言した。都の審議会の2日前のことだ。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら