「大企業病に陥っていた」ーー。ジンズホールディングスの田中CEOが全社員に伝えた「仰天メッセージ」とは?業績V字回復の裏側で起きていたこと

――ジンズの眼鏡は消費者間では「低価格」のイメージが強いです。今のジンズのポジショニングをどう捉えていますか。
10年前はアウトロー的な存在だった。「異分子がきた」というようなイメージがあったと思うが、今は若い人だけでなく「メガネといえばジンズ」という認識が増えてきて、メインストリームになったのではないか。
ジンズの一式単価(レンズ込みの単価)はまだ1万円台前半(2024年8月期は1万661円)であることを踏まえると、低価格帯だろう。
眼鏡は店員が1対1で顧客と接する時間が長く、接客の質がリピーター獲得につながるため、ただ安ければいいというものではない。1人ひとりに満足してもらうためには、接客、そして商品の質も上げていかなければならない。その結果、単価自体は上がってきている。
手強い競合との違いは?
――低価格帯の眼鏡ブランドとしては「Zoff(ゾフ)」や「OWNDAYS(オンデーズ)」など競合も手強いです。
うちは独自の道を追求してきたので、差別化できているし、全然違うブランドだと思っている。一方で消費者側はすべて似たようなブランドだと思っている。その違いを理解してもらうのに時間がかかっているが、いずれはわかる。
――独自の道とは、具体的には?
値段と商品の品質とのバランス、マーケティングやブランディング、先進的で新たな価値を生み出しているという点で他社と大きく異なる。
例えば、ブルーライトカットの眼鏡フレームはジンズが開発し、他社が後追いをした。当時はIPや知財に対する知識や経験がなく、何もしなかったが、これからはこうした点もしっかり担保していく。
4月には「JINS360°(サンロクマル)」という、曲げても壊れにくい眼鏡を出したが、今までにない機能のものを出すと皆さん喜ぶ。つねに先進的なものを出しているのがジンズだ。最近では近視抑制の研究もやっている。そうした競合他社はなく、これが歴然とした差につながっていく。
――ジンズは眼鏡の役割の捉え方が他社とは違うのでしょうか。
眼鏡は「まだ見ぬ光」の入口になるものだと思っている。例えば、2月には「JINS ASSIST(ジンズアシスト)」という、頭の動きでデバイスを操作できる眼鏡を発売した。そうやってより幅広い人に対して生活や人生を助ける製品を生み出していく。ファッション性だけでなく、より深いレベルでものづくりをしている。
われわれの2054年のビジョンは「近視をなくす」こと。近視がなくなれば眼鏡がいらなくなるか、というとそんなことはなく、より良い生活を得るための眼鏡を作っていきたいと考えている。
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