他人がやらないニッチ狙い

247ミュージック取締役会長・丸山茂夫氏①

まるやま・しげお 1941年生まれ。広告代理店を経て68年ソニー・ミュージックエンタテインメントの前身に入社、98年社長就任。ソニー・コンピュータエンタテインメント設立にも尽力し同社副社長や会長などを歴任。現在は247ミュージック取締役会長など。

1968年に広告代理店からソニーが新しく作るレコード会社、シービーエス(CBS)・ソニーレコード(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)に転職した。クライアントにぺこぺこ頭を下げるのが嫌で、逆の立場がいいという子どもっぽい理由で。レコード会社だからレコードを出している程度の知識しかなく、仕事内容も詳しく知りませんでした。

小澤(敏雄・元CBS・ソニー社長)さんにEPIC・ソニーを作れと命じられたのは入社10年目、37歳のときです。断トツに仕事ができたわけでもないし、何かをやりたいと思っていたわけではない。なのに、40~50人のスタッフを連れて好きなようにやれ、と。同期に渡辺プロ出身の稲垣博司さん(現エイベックス・マーケティング会長)がいて、彼が長男格、私は二男格。芸能界は向いていないと思っていたし、長男とは違うことをやろう、と考えた。

「マイナーこそメジャーの第一歩」

それで、他人が商売にならないと思っていたロックをビジネスの中心にしました。80年代初頭、日本でロックというジャンルはまだニッチだったんです。付け加えると、私のやってきたことはいつもニッチ狙い。「マイナーこそメジャーの第一歩」「いつかはメジャーで1等賞を取るぞ!」と思ってやってきました。

ロックをやり出した当時、成功する確信なんてありません。だって、誰もやったことないわけだから。ただ、これが失敗したら一巻の終わりだな、とは思っていました。幸いEPICからは、THE MODS、佐野元春といったアーティストが生まれ、レーベルとしての性格づけができた。小室哲哉や渡辺美里などは第2世代ですね。

EPICを大きくして、いずれはCBS・ソニーを吸収してやろうと思っていました。CBSに戻る気もない。それがCBS・ソニーが上場することになり、EPICは吸収合併されてしまいました。

ヒットメーカーなんて言われるけど、私は大した仕事をしていません。私のそばに仕事のできる人間が寄ってくる。これに尽きます。なぜかというと、私がボンヤリしているからです。そんなに計算高くないし、相手の欠点をチェックして厳しくやることもない。おいしいことを言って、裏で足を引っ張るようなこともしないので、警戒しないでいい。気を許せるし気分もいい。

私が働かなくても、周囲が働いて成果を持ってきてくれる。そうして「丸さん、何をやったんですか」となったのです。

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 財新
  • 実践!伝わる英語トレーニング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
ホンダ「4代目フィット」がイマイチ売れていない理由
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
京セラのガラパゴススマホ「トルク」がたどり着いた境地
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
「半導体パニック」自動車産業に与える巨大衝撃
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT