5月の検査で、またがんが見つかりました。が、放射線治療などでとりあえず消えたので、しばらくは大丈夫です。
2007年11月のある日、食事がのどを通らなくなった。がんだな、と直感しました。病院に行くと食道がん。右肩と、食道と胃のつなぎの2カ所のリンパ節への転移もあるステージ4Aで、余命は3~4カ月。
「えー、急な話だな」と。まず会社や家族の問題を片付けないと、と考えた。自分で会社をやっていましたから、大急ぎでみんなを集めて説明して、会社はヤフーオークションで買い手を募った。葬式の準備も全部しました。しのぶ会などかえって気を使わせるので密葬はしない。小さい教会を選び、会場が狭いのでテントの位置まで指示した。ハイになっていたのかもしれません。
副作用がほとんどない丸山ワクチン
治療で、抗がん剤投与と放射線照射を受けた。ただ、「おいしいモノを食べられなくなる」と胃への放射線治療は断りました。それ以外に、がんだと悟った晩から丸山ワクチンを毎日注射しています。丸山ワクチンの開発者、丸山千里は私の父です。
食道と2カ所の転移先からがんが消え、08年夏にいったん治療を終了した。抗がん剤、放射線などが効いたのでしょうが、丸山ワクチンも効いたと私は思っています。
皮膚結核治療薬として生まれた丸山ワクチンは、がんにも効くといわれていますが認可はされていません。1981年以降「有償治験薬」という特殊な位置づけをされている。希望すれば誰でも使えるけど一般的には使われません。今は、NPO(民間の非営利組織)法人「丸山ワクチンとがんを考える会」の副理事長として、こういう薬があるということを伝える活動をしています。
実は、親父や丸山ワクチンのことを、若い頃は面倒くさいとかかわらずにいました。時間が経てばいい薬ができてワクチンも忘れ去られると思っていた。
でも、父親が亡くなって20年経っても状況は変わっていない。人によっては丸山ワクチンは劇的な効果があるし、自分にとってもそうだったと考えています。丸山ワクチンで助かると思う人がいるならば、残しておいて、こんな薬もあると伝えるのは私の義務かな。
がんを決定的に治す方法はないと思う。自分の細胞が暴走するわけだから、病気というより老化だよね。今後も特効薬は出てこないでしょう。それでも何もしないでいるより、患者は何かをしたい。副作用がほとんどない丸山ワクチンは、選択肢の一つとしてあっていいはずです。
(撮影:今井康一 =週刊東洋経済2011年11月19日号)
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