徳洲会に翻弄、生駒市立病院建設の行方 日本最大の医療グループに懸念の声
日本最大の医療法人グループ徳洲会が、指定管理者として運営する予定の新病院建設をめぐり、奈良県生駒市が揺れている。
事の発端は2005年にさかのぼる。当時、奈良県国民健康保険連合会が運営していた市立生駒総合病院(196床規模)が老朽化などを理由に閉院。06年、新病院建設を掲げて山下真氏が市長に当選したが、建設予定地や運営の指定管理者選定が難航した。当初、大阪医科大学、地域医療振興協会、聖隷福祉事業団の3医療機関と交渉を行ったが、07年に交渉は物別れに終わった。
その後、山下市長と距離を縮めたのが徳洲会だった。新病院建設に反対する生駒市議グループによると、山下市長は07年11月10日~11日に徳洲会の葉山ハートセンター(このとき、山下市長は徳洲会グループのトップである徳田虎雄氏と面談)、15日には湘南鎌倉総合病院を訪問。15日のうちに民間医療機関を含めて病院運営の指定管理者を公募することを決めた。が、公募は周知期間なしのわずか2週間。締め切り日になって医療法人徳洲会のみが応募し、08年1月指定管理者に内定した。
暴力団との関係を懸念
市議会ではすでに新病院建設は承認されているものの、建設はなかなか進まない。地域の診療所などへの影響を懸念した生駒市医師会の建設反対に加えて、指定管理者決定の経緯なども含めて徳洲会に対する不信感が根強いことが背景にある。
中浦新悟・生駒市議によると、「病院の基本設計を徳洲会が推薦する新都計画に随意契約(後に実施設計入札で同社の虚偽記載が発覚)したり、建設予算決定後にリニアック(がんの放射線治療装置)を設置することになったり、基本協定もなかなか締結してもらえないなど、市は徳洲会の言いなりと受け取られるようなことをしてきた。また、2月には徳洲会グループの問題が報道される中で、山下市長は納得できる明確な説明をしていない」。
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