経営陣の内紛が勃発 徳洲会グループの闇 スキャンダル噴出の中、理事会が開催
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2月5日午後4時。神奈川県鎌倉市にある湘南鎌倉総合病院の最上階の会議室で一般社団法人徳洲会の理事会が開かれた。議案は同法人の専務理事解任を決める社員総会開催について。1時間の予定だった会は紛糾し3時間に及んだ末、社員総会が開かれることが決まった。
全国67病院や診療所、介護施設などを展開する日本最大の医療グループ徳洲会が、創始者一族と経営元幹部の内紛で揺れている。創始者、徳田虎雄氏の側近である能宗克行氏が昨年5月、医療法人徳洲会の専務理事および事務総長を解任されたうえ、今度は一般社団法人の専務理事職を追われようとしているのである。5日の理事会は、4日に虎雄氏の二男・毅氏(衆議院議員)が女性問題で国交政務官を辞任したばかりとあって、グループ約2万7000人の職員ら関係者の注目を集めた。
今回、病院側は1月21日付で能宗氏に「聴聞通知書」を送付。不正出金疑惑や、暴力団との交際などを理由に懲戒解雇を通告した。対して能宗氏は29日に開かれた懲罰委員会に83ページに及ぶ「聴聞通知に関する回答」を提出。本誌が入手した回答書によると、能宗氏は処分に対する反論だけでなく、グループ関連企業の社長を務める一族の給与が多額に及ぶなど複数にわたる内部統制上の問題も指摘している。
関係者によると、かつて同グループは虎雄氏がワンマンで仕切っていたが、9年前に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症して以来、同氏の家族らが運営への関与を強めており、近年経営幹部が相次ぎ解雇された。
こうした中、5日の理事会には約50人の理事と、監事4人が出席。数項目あった解雇理由のうち、「暴力団との交際」一点に絞って議論が行われた。数人から反論があったが、賛成多数で可決し、13日の社員総会での能宗氏の解雇が決まった。能宗氏は当面一般職員として残るが、懲罰委員会は継続される。能宗氏は一般職員の就業規則をもって懲戒解雇されるとみられる。