赤か白かを決めないといけない

247ミュージック取締役会長・丸山茂夫氏④

まるやま・しげお 1941年生まれ。広告代理店を経て68年ソニー・ミュージックエンタテインメントの前身に入社、98年社長就任。ソニー・コンピュータエンタテインメント設立にも尽力し同社副社長や会長などを歴任。現在は247ミュージック取締役会長など。

インターネットで音楽を聴くようになってCDが売れなくなった。音楽業界の人間は、CDがいちばん売れたいい時代を懐かしんで怒っています。だけど、これが現実だから仕方がない。インターネットを活用してファンを増やし、CDではなくライブやグッズで稼ぐ、レコードが出てくる前の音楽ビジネスの姿にいったん戻らざるをえない。

私は現在、Kポップを研究しています。Kポップはインターネット時代に合った手法で世界的に大成功している。そこから学びたい。日本の音楽業界の人はみんな、私が裏切ったと言っているけど。

ゲームも同じです。コンソール(家庭用ゲーム機)の豪華絢爛なビジネスは一時お休み。軽いソーシャルゲームで若者が満足するなら、それでやっていくしかない。

組織を大きくするのはやめたほうがいい

今の流れに対応しなければ、この先、食えなくなる。「そろそろ準備に入ったほうがいいんじゃない」と思うんだけど、「早すぎますよ、丸山さん」と言われる。確かに従来のビジネスで食えている以上、新しい流れを先取りするのは難しい。成功する保証もない。でも、新しいことをやるほうが面白いし、格好いい。

私自身は大企業にいましたが、小さい組織や会社が好きです。大きい組織で革新的なことをやろうとすると大抵失敗する。ソニー・ミュージックやソニー・コンピュータで私も何度も失敗しました。だって、みんなが同じ気持ちになってくれないから。

 小さな会社なら、赤の意見と白の意見がぶつかったときに、今回は赤で行くと決められる。大企業だと、赤に1万人、白に1万人がかかわっているとなるので、結論なんて出ない。間を取ってピンクにするしかない。でも、本当は赤か白かを決めないといけない。赤を選んで失敗したら、次は白を試せばいい。でも、中途半端にピンクを選んで失敗したら、次にどっちに行っていいかわからなくなる。だから、組織を大きくするのはやめたほうがいい。M&Aなんかするもんじゃない。

自分はすごくわがままをやっていたから、いつクビになるかわからないと思っていた。だから、やっていることが通用しなくなったらどうするか、そのシミュレーションだけはすごくしていた。クビって言われたときに、青ざめたりしないで済むように、軽いセーフティネットを自分でいくつか作っておくとかね。

身の安全をそこそこ確保しておかないと、格好いいセリフも言えない。面白い話が来たときに、躊躇してチャンスを逃すのは嫌だね。

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 今見るべきネット配信番組
  • コロナ後を生き抜く
  • 若者のための経済学
  • 憧れから一歩前へ! キャンピングカーのある日常
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
「雑談で笑いを取れない人」が知らない基本原則
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT