インターネットで音楽を聴くようになってCDが売れなくなった。音楽業界の人間は、CDがいちばん売れたいい時代を懐かしんで怒っています。だけど、これが現実だから仕方がない。インターネットを活用してファンを増やし、CDではなくライブやグッズで稼ぐ、レコードが出てくる前の音楽ビジネスの姿にいったん戻らざるをえない。
私は現在、Kポップを研究しています。Kポップはインターネット時代に合った手法で世界的に大成功している。そこから学びたい。日本の音楽業界の人はみんな、私が裏切ったと言っているけど。
ゲームも同じです。コンソール(家庭用ゲーム機)の豪華絢爛なビジネスは一時お休み。軽いソーシャルゲームで若者が満足するなら、それでやっていくしかない。
組織を大きくするのはやめたほうがいい
今の流れに対応しなければ、この先、食えなくなる。「そろそろ準備に入ったほうがいいんじゃない」と思うんだけど、「早すぎますよ、丸山さん」と言われる。確かに従来のビジネスで食えている以上、新しい流れを先取りするのは難しい。成功する保証もない。でも、新しいことをやるほうが面白いし、格好いい。
私自身は大企業にいましたが、小さい組織や会社が好きです。大きい組織で革新的なことをやろうとすると大抵失敗する。ソニー・ミュージックやソニー・コンピュータで私も何度も失敗しました。だって、みんなが同じ気持ちになってくれないから。
小さな会社なら、赤の意見と白の意見がぶつかったときに、今回は赤で行くと決められる。大企業だと、赤に1万人、白に1万人がかかわっているとなるので、結論なんて出ない。間を取ってピンクにするしかない。でも、本当は赤か白かを決めないといけない。赤を選んで失敗したら、次は白を試せばいい。でも、中途半端にピンクを選んで失敗したら、次にどっちに行っていいかわからなくなる。だから、組織を大きくするのはやめたほうがいい。M&Aなんかするもんじゃない。
自分はすごくわがままをやっていたから、いつクビになるかわからないと思っていた。だから、やっていることが通用しなくなったらどうするか、そのシミュレーションだけはすごくしていた。クビって言われたときに、青ざめたりしないで済むように、軽いセーフティネットを自分でいくつか作っておくとかね。
身の安全をそこそこ確保しておかないと、格好いいセリフも言えない。面白い話が来たときに、躊躇してチャンスを逃すのは嫌だね。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら