広島カープは最高の「地方再生モデル」だった

「カープ女子」という言葉に隠された真実

さらにみなさん良くご存じのカープ女子の存在です。

広島では若いOLや女子学生が集まって、「今日はどこに行こうか、映画でも見に行く? 食事でもする? それともカープの試合を見に行こうか?」という選択が普通に行われます。日本全国、若い女の子同士が娯楽の選択の中に野球観戦を普通に入れている都市は広島以外皆無でしょう。

さらに言えば若い女の子同士で楽しむファッションの選択肢の一つにカープのユニフォームが入っている、というのはどうですか? 広島市内のパルコでは毎年カープのユニフォームを使用したコーディネートがショーウィンドウを飾り、コンテストまで開かれるのです。

少なくともデートの場にカープのユニフォームを着て行っても全く違和感はありません。東京だと、ちょっと変わったカップルになってしまいますが、広島では大丈夫。それだけ元々のファッション性が問われるわけですが、あのビジター用の赤いユニフォームは見事に「カープ女子」のニーズにマッチしました。

「カープ女子」は若い子だけではない

しかし、ここにはさらに肝心なポイントが隠されています。実はカープ女子と言っても、それは若い子に限ったことではないということなのです。メディアは受けを狙って若い女の子ばかり取材しますが、事の本質は別に存在します。

マツダスタジアムに行って頂くと、最初にびっくりするのは年のころ、70歳くらいのおばあさん達が友人同士で連れ立って野球観戦に来られておられる姿をたくさん見ることです。

もちろん、御夫婦もおられますが、この女子の高齢者比率は他球場に比べて群を抜いて高い。東京で70歳程度の女性という限定で、野球観戦が趣味である、という方は極めてまれだと思います。

なるほどタイガースファンは熱烈ですが、甲子園に行ってみると騒ぎたい若者が主体ですね。通常「高齢者女性」というのが野球というスポーツのマーケティングからすっぽり抜け落ちているのです。しかし、広島でおばあちゃんに声をかけてカープの選手でだれが好きですか、と質問すれば必ず答えが帰ってきます。この高齢者女性をつかんでいると言う事実はビジネス上きわめて重要な意味を持ちます(ちなみに広島では「前田」といえばエースのマエケンのことで、元AKBのあっちゃんを思い浮かべる人は1人もいません・・・笑)。

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