難航した「87歳母の賃貸探し」成約のカギとは 高齢者「受け入れていない」オーナーが約4割

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Iさんにとっては、お守りのようなものだと話します。

「このサポートに加入しているおかげで、今のところ母の暮らしに心配はありません。毎日午後1時に自動音声の電話が母に入って、母はボタンを押して切るだけ。すると私のところに『お母さんは元気です』と連絡が来る仕組みです。お風呂のところにも人感センサーがついているので、母が通るたびに元気に動いていることがわかるので安心できます」(Iさん)

また、Iさんのように家族が近所に住んでいなくても、安否確認が取れなかった際には、駆け付けの依頼ができるので遠くに住んでいても安心です。

win-win-winの仕組み

さらに、このような取り組みを行うことは、ニッショーにも大きなメリットがあったといいます。

「管理する物件は空室が減り、多くのお客様に喜んでもらうことができ、このような取り組みをしている会社だという認知度が上がりました。社員の採用や自社の業績向上にもつながっています」(ニッショー佐々木さん)

win-win-winの仕組み
オーナーにとっては空室対策になり、高齢の入居者は住まいを選べるようになり、ニッショーも成約数が上がる、win-win-winの仕組みといえる(画像提供/ニッショー)

これからの日本では世帯数人口が減少していくことが確実な中で、いかに空室を減らし、賃料を得ていくかはオーナーにとっても切実な問題です。高齢者を積極的に受け入れていくことは、その一つの解決方法でもあるはず。オーナーに負担をかけず、孤独死などのリスクを減らせることは、高齢者が入居できる賃貸物件の増加に大きく役立つに違いありません。

このような、入居希望者やオーナーに喜んでもらいながら業績アップにつなげていく取り組みが、当然の企業活動として全国的に広まっていくと良いですね。

同時に、これからの課題だな、と思うのは、年金生活をしている高齢者の中には、見守りサポートの費用負担や緊急連絡先確保が難しい人もいるだろうということ。そして、入居者がさらに年齢を重ねたとき、どうなっていくのだろうということも気になりました。

行政と連携した助成金の利用や、単身高齢者が一人で暮らせなくなったときの次のステップについて話し合っておくことなども視野に入れて、社会全体の仕組みをさらに展開・進化させられるよう一人ひとりが考えていきたいものです。

●取材協力
株式会社ニッショー
ニッショーの高齢者見守りサービス「シニアライフサポート」

取材・文/和田 文(りんかく)

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『SUUMOジャーナル』編集部

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