難航した「87歳母の賃貸探し」成約のカギとは 高齢者「受け入れていない」オーナーが約4割

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高齢者が借りられる部屋が少ない背景
ニッショーが高齢者の入居に取り組み始めた2016年頃は、サ高住が話題になる一方、高齢者が入居できる賃貸住宅はほとんどなく、あっても古くて借り手が見つからない物件など、選択の余地があまりなかった(画像/SUUMOジャーナル編集部)

高齢者の入居支援を「オーナー負担ゼロ」で実現

ニッショーは、入居する人の安否を毎日確認し、何かあった場合に駆けつける「シニアライフサポート」を導入することでオーナーと高齢者が安心して入居できるように後押ししています。

65歳以上の人が入居を希望する場合には賃貸契約書でサポート加入を義務付け、入居者が機器の設置などにかかる初期費用3万円+税を負担します。月々のサービス料6600円ほどは家賃と一緒に口座から自動で引き落とされる仕組みです。

シニアライフサポート
ニッショーが導入しているシニアライフサポート。65歳以上の入居には加入を必須とすることで、孤独死のリスクを減らすことができる(画像提供/ニッショー)

これまでは、このような見守り機器を導入しようとすれば、オーナーが設置費用を負担するのが一般的でした。その費用負担がゼロになるので、多くのオーナーに受け入れられたのです。

「万が一、入居者が亡くなり未収賃料が発生しても、家賃保証会社が死亡した月の家賃をカバーする契約です。お身内や緊急連絡先の方がなく残置物がある場合は撤去・明け渡しまで家賃保証会社が行うため、オーナーさんの経済的・心理的・物理的な負担は少なくなります。

そもそも、シニアライフサポートを導入しているので万一があった際にも早期発見が可能で、特殊清掃(遺体の発見が遅れ、遺体の腐敗などによりダメージを受けた室内を原状回復するための消臭、汚染除去など、特別な清掃)が必要になることは、まずありません」(ニッショー佐々木さん)

自分が貸す部屋が事故物件になることを望むオーナーなどいませんから、回避できる可能性が高いこのようなシステムは、オーナーにも好評です。多くの不動産会社で高齢者に紹介できる賃貸物件が少ないなか、ニッショーが管理する高齢者入居可の管理物件は、なんと3000棟近く(2024年6月時点)になりました。

仕組み
シニアライフサポートは入居者が設備費等を支払うため、オーナーに負担はかからない(画像/SUUMOジャーナル編集部)

シニアライフサポートは、賃貸物件の契約後に都度、見守り機器を設置するため、高齢者でも入居できる物件が限定されません。

先に触れた家賃保証会社への加入も必須とすることでオーナーだけでなく入居を検討する人にとっても、多くの選択肢の中から自分の希望に合った部屋を選べるメリットがあるわけです。そして不動産会社にとっても、自治体の支援や補助金などをあてにせず、独自に継続していけるシステムと言えるでしょう。

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