難航した「87歳母の賃貸探し」成約のカギとは 高齢者「受け入れていない」オーナーが約4割

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ところが、いざ部屋を探し始めるとなかなか住まいが決まりません。

最初はIさんが以前に世話になったことがある地元密着型の不動産会社に相談したのですが、紹介してもらった3件はいずれも築40年を超える古い物件で、魅力的に感じなかったといいます。

それでも、と内見に行った物件のオーナーはお母さんと同じ年代の人。最初は入居OKの返事をもらっていたにもかかわらず、その家族が年齢を理由に反対したことで入居を断られました。

「母は元気ですし、認知症の傾向もないと伝えたのですが、『お年を召していらっしゃるので』と言われるばかりでした」(Iさん)

他の2物件についても、不動産会社の担当者から「借りるとなると審査があるので、覚悟してくださいね」と言われ、Iさんはその対応が「事務的で冷たく」感じたそう。

ショッピングキャリーを引いて歩く高齢の女性の後ろ姿
Iさんのお母さんは、認知症の症状もなく、少し離れたスーパーにも歩いて通うほど自分のことは自分でできる健康な人。にもかかわらず、年齢だけで入居できる賃貸物件はなかなか見つからなかった(写真:jessie/PIXTA)

高齢者「受け入れていない」オーナーが約4割

しかし、Iさんが最初に相談した不動産会社だけが特別に不親切だったわけではないようです。65歳以上の高齢者に特化して入居できる物件を紹介している不動産会社、R65不動産が2022年9月に実施した調査では、不動産会社の4社に1社は高齢者が入居可能な物件が「全くない」と答えたのだとか。

また、2024年3月に同社が全国の賃貸オーナーを対象に実施した「高齢者向け賃貸に関する実態調査」の結果からは、高齢者の受け入れに消極的なオーナーが一定数いることがわかります。高齢者を積極的に受け入れている賃貸オーナーは19%に過ぎません。対して、受け入れていないオーナーは41.8%となっています。

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