「破談危機は何度も」ユーグレナ社長が語る舞台裏 出資比率の経緯、資金調達の覚悟から今後まで
バイオベンチャー・ユーグレナが欧亜の巨大企業と組んでマレーシアでのバイオ燃料の量産に乗り出す。ただ、事業運営会社への出資は最大でも15%と、想定していた3割には届かなかった。誤算はなぜ生まれたのか、この先はどういった絵を描くのか。創業者でもある出雲充社長に聞いた。
2030年の日本にこのプロジェクトは必要
――マレーシア合弁の最終投資が決定した。
少し遅れたがやりきった。燃え尽き症候群になりそうなくらい交渉メンバーはみな本当によくやった。計画はスタートに立っただけだが、マレーシアのバイオ燃料生産はよほどのことがない限りは実現する。
――最終投資で合意したことの意義はどこにあるか。
このままでは2030年に日本で必要とされる約170万キロリットルのSAF(航空機向けのバイオジェット燃料)が確保できずに、日本から国際線が飛べなくなる。今回の決定でマレーシアの新プラントで製造したバイオ燃料を日本に持ってくることができるようになる。
現在主流の廃食油などを使ったバイオ燃料でもいいと考えるかもしれないが、これも実際は難しい。日本には原料となる廃食油がない。石鹼や家畜飼料向け以外の1万トンがバイオ燃料向けに今欧州に輸出されている。これを日本向けに振り替えても、2030年の170万キロリットルにはまったく足りない。
だから、藻からバイオ燃料を作ることが必要だ。誰もやってないし、できるかどうかもわからない。それを何とかしようというのがベンチャー、スタートアップの仕事だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら