楽天モバイル、競合も驚いた「契約数爆増」の深層 違和感すら抱く「1年で契約200万超」どう実現?

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一方、業績面に目を移すと、楽天のモバイル事業は依然として赤字が続く。2024年1~6月期決算では、606億円の営業赤字(前年同期は824億円の赤字)だった。

楽天モバイルのARPUとモバイル事業の営業損失の推移

楽天はモバイル事業について、2024年内にEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)ベースで単月黒字化を目指している。キャリアの通信利用収入は、主に「契約回線数×ARPU(1ユーザー当たりの平均売上高)」で決まるとされる。会社側は、損益分岐点を超えるには、「MNO回線数=800万~1000万回線」「ARPU=2500~3000円」の双方の達成が必要だと見込む。

すでに700万を超えた回線数は年内の達成が十分視野に入るものの、課題はARPUだ。足元のARPUは2030円程度と、1年前と比べてほぼ同水準にとどまる。利用料が比較的少ないとされる法人向けが増えたことが一因とみられる。驚異的なペースで回線数が伸びているとはいえど、ARPUの急上昇が厳しい状況なのは間違いない。

決算資料から消えた“年内単月黒字化”

楽天自身も、目標達成の難しさを認識しているもようだ。今回の決算プレゼン資料からは、目標として掲げてきた「年内モバイル単月黒字化」への言及が消えた。

代わりに強調されたのが、楽天の「エコシステム」の利用も含めたARPUの指標だ。楽天モバイルを使うことで、グループのサービス利用に貢献した点などを加味した数字で見ると、ARPUが3000円を超えるとしている。

純粋なARPUベースで当初の目標達成にこだわるならば、実質的に値上げするような形で料金設定を見直すのが現実的な戦略に映る。ただ、7月にはソフトバンクが「楽天対抗」(宮川社長)として、オンライン専用ブランド「LINEMO」で、利用量に応じて2段階で料金が変わる新料金プランを投入するなど、業界内の競争はより激しさを増す。

三木谷氏は「単純な値上げというよりかは、より付加価値をつけたサービスを追加してARPUを上げていくのがまずやるべきことだ」と強調する一方で、「十分なマーケットシェアを獲得したうえで料金は考えていきたいが、事態は刻々と動いている。この辺はセンシティブな戦略なのですべて話すわけにはいかない」と、今後の戦略見直しには含みを持たせた。

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