楽天モバイル、競合も驚いた「契約数爆増」の深層 違和感すら抱く「1年で契約200万超」どう実現?

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足元では、さらなる攻勢を強めようと、6月からある「武器」を投入した。2023年10月に獲得した、つながりやすい周波数帯である「プラチナバンド」だ。「積極的にプラチナバンドの敷設をし、『最もつながる最強楽天モバイル』ということで取り組んでいく」(三木谷氏)。

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長
楽天の三木谷氏は6月27日に開いた記者会見で、プラチナバンド開始を大々的にアピールした(記者撮影)

楽天は競合キャリアと比べた際の通信品質面での課題が指摘されてきた。悲願としてきたプラチナバンドをようやく手にして本格展開することで、さらなるユーザー数拡大に弾みをつけたい考えだ。

ただ、販促面では派手な仕掛けに乗り出しつつある一方で、6月の開始時に整備を発表したプラチナバンド向け基地局は1局のみだった。楽天が国に提出した基地局開設計画では、2033年度末までの設備投資額も544億円にとどまる。

猛アピールの割には投資が少ない?

MM総研の横田氏は「楽天の投資額を見ると、そこまでいきなりガラッとつながりやすさが変わるとは言えないと思う。もっとつながりやすくなれば、評価も上がってくるので、楽天もレピュテーションを守るためにしっかり(投資を)やっていかないといけないのではないか」と指摘する。

競合からも苦言を呈する声が上がる。KDDIの髙橋社長は「あれだけアピールされている割に、積極的に投資をされていない印象だ」と話す。ソフトバンクの宮川社長も「国から電波を割り当てられたMNOとして責務を果たすべく投資はしていただきたいが、今はさほど機能していない」と述べた。

「圧倒的な品質を実現すべく、地道な努力をやっていきたい」と強調する三木谷氏。プラチナバンドの整備加速でさらに品質を向上させ、ロイヤリティの高い顧客の拡大につなげられるのか。これから改めて、携帯キャリアとしての真価が問われることになりそうだ。

茶山 瞭 東洋経済 記者

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ちゃやま りょう / Ryo Chayama

1990年生まれ、大阪府高槻市出身。京都大学文学部を卒業後、読売新聞の記者として岐阜支局や東京経済部に在籍。司法や調査報道のほか、民間企業や中央官庁を担当した。2024年1月に東洋経済に入社し、通信業界とITベンダー業界を中心に取材。メディア、都市といったテーマにも関心がある。趣味は、読書、散歩、旅行。学生時代は、理論社会学や哲学・思想を学んだ。

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