楽天モバイル、競合も驚いた「契約数爆増」の深層 違和感すら抱く「1年で契約200万超」どう実現?
一方、三木谷氏は決算会見で、「今四半期の契約回線数においてB2C(個人向け)が非常に増加している」とも強調した。
楽天は今年に入ってから、個人向けにさまざまな新施策を打ち出している。2月に家族で使うと料金が割引される「最強家族プログラム」を始めると、翌3月に22歳以下を対象にポイント還元する「最強青春プログラム」を投入。5月には12歳以下向けにポイントを優遇する「最強こどもプログラム」まで導入し、楽天社員が自身の子供たちと記者発表会に登壇してアピールした。
泥くさいドブ板営業で地道に顧客を開拓し、祖業の楽天市場を成功させたことでも知られる楽天。最近では、社員が配る名刺にポイント特典で楽天モバイルの利用を勧誘する広告が印刷されており、三木谷氏自身もX(旧ツイッター)で、トップセールスによりタクシー運転手に契約してもらったことを明らかにしている。まさに、「社員一丸」でのなりふり構わぬ営業が続く。
新規契約はどこから湧いているのか
飽和状態にある国内市場で楽天が躍進すれば、競合の3大キャリアはもろに煽りを食らうはず――。そう思いきや、意外にも現状は、楽天による顧客奪取は限定的との声が上がる。
ソフトバンクの宮川社長は冒頭の会見の場で、「当社への影響はほとんどない」と説明。KDDIの髙橋誠社長も8月2日の決算会見で、「われわれからの流出状況を見ていると、大きくは変化していない。そんな状況の中で、あれだけ短期間に数字が上がっているのは、本当は違和感がある」と言及した。NTTドコモの小林啓太副社長も同7日の決算説明会で、自社の格安プラン「ahamo」への影響について、「競争が激しくなっている認識はあるが、楽天からはそれほど取られている感じもない」と話した。
他社が抱く”違和感”の正体を読み解くヒントとなりそうなのが、楽天が公表した「MNP」(電話番号を変えずに携帯キャリアを乗り換えられる制度)での純増数だ。
楽天は2024年1~6月の競合他社からの「MNP」によるB2Cの純増が、29.9万回線だったと明らかにした。この間のMNO全体の増加数は98万回線で、他社からの乗り換えは3割程度にとどまる計算となる。競合キャリアからすれば、この点が、楽天の急拡大に比して自社からの流出が少なく見える要因の1つといえそうだ。
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