つまり、意志の力で何とかやり続けようとするには、限界があるということ。さらには、意志の力が消耗すると、パフォーマンスが下がっていくということです。
フロリダ州立大学社会心理学部のロイ・バウマイスター教授が、ある実験によってこのことを明らかにしました。実験は以下のようなものでした。
教授は、学生を2つのグループに分け、それぞれのグループの前に焼きたてのチョコレートチップ入りのクッキーを置きました。1つのグループにはこのクッキーを食べることを許可し、もう1つのグループには、我慢することを強要しました。
そして、両方のグループに、難しいパズルを完成させるよう指示を出しました。
結果はどうなったかというと、クッキーを食べたグループが平均してより長くパズルに取り組めたのに対し、我慢させられたグループは、パズルへの挑戦を投げ出した学生が多くいたそうです。
我慢という意志を働かせる必要があったグループは、意志の力に消耗が認められたのです。意志の力は別の意志によって消耗していくため、習慣化を行う初期段階では、なるべく意志の力を多く使うような状態にしないことが肝心です。
まずは1つのことに集中する
さらに大事なことは、「まずは1つのことに集中する」こと。つまり、一度にあれもこれも習慣化しようとしないことです。
あれもこれも複数同時に習慣化しようとすると、それだけ意志の力の消耗も激しくなります。ビジネスパーソンであれば、仕事ですでにかなりの意志の力を使っているので、複数の習慣を作っていけるほど、その日の余力は残っていないものです。
習慣化しようとする項目の絞り込みを行い、それでも複数ある場合は、その優先順位を決めます。そして、最初に取り組む習慣を決め、それに取り掛かります。1つ目の習慣を3週間から3カ月続けたあたりで、どれだけ定着したかを確認します。
それが自分の日常でほぼオートマチックに行われるようになったと思ったら、もうそれは習慣化されたとみていいでしょう。
この時点では、その行動を続けることに、意志の力をほとんど使わない状態なので、意志の力の消耗もほとんどありません。この状態になったら、次の習慣を始めることができます。
そして、2つ目もオートマチックになったら、ちょっと休憩を挟みながら、3つ目に取り掛かるといった具合で進めていくのがおすすめです。
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