就活オワハラ問題、労働弁護士の見方 法的な視点で考えれば、慌てる必要はない
採用選考開始が昨年までの4月1日から8月1日に繰り下げられ、大企業がようやく内定を出せるタイミングになった今年の就活戦線。この就活時期繰り下げと「売り手市場」化が相まって、大きな社会問題となったのが「オワハラ」だ。
オワハラは「就活終われハラスメント」の略で、就活生に内定を出したり、内定を出そうとしたりしている企業が、ほかの企業への内定辞退の強要や他社選考の妨害、内定辞退しようとした人への脅迫などにより、学生の職業選択の自由を侵害するような企業の採用活動をいう。言うまでもなく、内定を出した学生を囲い込みたいというのが企業側の思惑である。
ほかの内定先を強引に辞退させる例も
実際にあった例では、人事担当者が内定を希望している学生に対して、その場でほかの内定先に電話をかけさせて辞退をさせ、ほかの内定先への就職の途を強引に絶たせる行為などが報告されている。7月末に文部科学省が発表した調査結果では、大学・短大の約7割がオワハラについて学生から相談を受けたとする調査結果を発表した。昨年度(約45%)よりも増加している。
このオワハラ問題を法的な観点で、労働者の立場である就活生の視点から考えてみたい。結論からいえば、就活生はオワハラをまったく恐れる必要はない。
就活生としては、特定の1社から内定を得たとしても、より労働条件のよい企業から内定を得られればそちらに就職したいと考えるのは当然だ。 そもそも、学生が就職活動の結果、ひとつの企業から内定を受けた場合、ほかの企業への就職を目指して活動することは法的には全く問題ない。就活生が、よりよい就職先を求めて就職活動をすることは完全に自由だ。
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