東京電力の消えない「公的管理」の不安、今期は営業赤字に転落
が、これで経営の危機を脱したとは到底言えない。第一に当面東電では原発の再稼働を見込むのは難しく、値上げなしに営業黒字を出すことは不可能だ。つまり、このまま営業損失を出し続ければ、いくら賠償金を交付金で賄えたところでジワジワと財務が毀損し続ける事態は避けられない。
これよりさらに「恐い」のが廃炉や除染といった原発事故収束にかかわる費用である。廃炉関連の費用については前期6300億円程度、今期はさらに1850億円を計上する公算だが、これ以上に膨らむ可能性は十分ある。また、福島県を中心に始まっている除染については28兆円にも上るとの試算もある。原子力事故の除染費用は原則、事故を起こした事業者負担となっている。除染費用を賠償金に含めるかどうなかなどは、現在原子力損害紛争審査会で議論がされているところだが、仮に賠償金外ということになれば東電の経営は一気に吹っ飛ぶ。
となれば、選択肢は法的整理か公的資金注入しかない。もっとも、賠償金の額を鑑みればとっくに債務超過企業である東電を潰さないために力業で支援機構法を作った政府が法的整理の道を選ぶとは考えがたい。東電は繰り返し「民間企業として生き残りたい」と主張しているが、廃炉や除染といった費用の膨張によっては、公的資金注入による公的管理というシナリオが俄然、現実味を帯びてくる。
(倉沢 美左 撮影:尾形 文繁 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2011.03 5,368,536 399,624 317,696 -1,247,348
連本2012.03予 5,315,000 -305,000 -400,000 -600,000
連本2013.03予 5,500,000 -350,000 -450,000 -200,000
連中2011.09 2,502,752 -60,600 -105,748 -627,299
連中2012.09予 2,700,000 -150,000 -155,000 -100,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2011.03 -846.6 30
連本2012.03予 -374.4 0
連本2013.03予 -124.8 0
連中2011.09 -391.5 0
連中2012.09予 -62.4 0
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