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日本銀行の独立性を殺したのはいったい誰なのか 歴史に禍根を残すことになった「8.7内田会見」

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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日銀は、政治の圧力には忸怩たる思いがあっただろうが、「世間」の圧力にはなすすべがなかった。

これが、財務省ならば「自分たちは未来の国家のために、政治のポピュリズム(大衆迎合的な姿勢)と戦っている。その影響を受けた国民がポピュリズムに染まっていれば、国民がポピュリズム政策を求めれば求めるほど、それは国家の道を誤らせる」と燃えに燃え、世間に批判されればされるほど自分たちの使命が重要だと信じ、アンチポピュリズムに邁進する。

「レッテルの除去」を願った「8月7日会見」

一方、日銀はそれとはまったく違った組織風土で、「理論上正しいことをピュアにやる。ピュアにやるためには、そういう圧力、批判からは無縁でいたい。だから、政治はともかく、世間に怒られることで、自分たちのピュアなよりどころを失うことはできない」。だから、とにかく怒られることは避けるのだ。

これを象徴するのが、7月31日の決定会合の結果発表直前にメディアで流された元日銀の有力者のコメントだ。「今度は、世間に怒られずに利上げができる」。政治にも世間の圧力にもかかわらないために真空地帯を求めて、真空が成立したときだけ政策を動かす。

だからこそ、日銀の利上げだけが理由ではなかったにもかかわらず、株価の大混乱が「日銀の利上げのせいだ」というレッテルを貼られることになった。しかも、それが政治ではなく、世間の認識となってしまったために、そのレッテルを外すべく、8月7日に内田副総裁は7月31日のタカ派的な記者会見を否定し、レッテルの除去を願ったのである。

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