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総裁の呼び出しを経て副総裁が「タカ派」に大変身、「金利ある世界」へ一瀉千里で7月案浮上 植田丸、2年目の逆風③

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植田和男総裁と内田眞一副総裁
利上げも辞さない強硬姿勢に転じた内田眞一副総裁(左)(編集部撮影)
過去の金融政策・経済政策の検証に取り組む筆者が、当時の政策決定プロセスや当局者たちの人間模様に迫る。【月曜日更新】

2024年6月、日銀は国債の買い入れを減額する方針を固め、財務省との調整に入った。円安を懸念する財務官の神田眞人は思い切った減額を求めていたが、国債を発行する理財局はこれに難色を示した。最大の買い手である日銀が安易に買い入れを減らせば、国債の安定消化に黄信号が灯り、長期金利が跳ね上がりかねない。異次元緩和の解除に向け、日銀が最も気にした点でもあった。

日銀の政策ラインは、財務省内の政策調整を担う大臣官房に相談した。「財務官と理財局の言っていることがまったく違う。どちらが財務省の公式見解なのか」。

国債管理政策を預かる理財局にとって、国債の安定消化は最優先課題である。だが、いつまでも日銀に依存できないことも、幹部らは理解していた。そこで日銀に「市場を混乱させない丁寧な作業」を求めることで歩み寄った。

一方、神田は、6月14日の金融政策決定会合で国債の大規模減額を決定し直ちに実施すべきだ、との主張を変えようとしない。困惑した日銀に対し、大臣官房は神田と話し合ったうえで、こう答えた。

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