いつの間に「宇宙」は戦争の瀬戸際にあった 米・中・ロの間で新しい冷戦が勃発している
ところが、中国がこれらの兵器を目標に向けて正確に操縦するには、宇宙と地上のセンサーが不足している。たくさんのレーダーと望遠鏡を有する米国の宇宙認識システムと比較すると中国が保有するのは比較的部分的なシステムと言える。北京の外交的孤立の一つの帰結である。
米国が全世界のセンサー網の一部を同盟国にホストしてもらえるのに対して、中国は正式な同盟国がほとんどなく、宇宙認識システムは自国領内か洋上の船か宇宙にしか配備できないのである。中国軍は東アジアでは命中を見ることができるが、その他の地域ではほぼ盲目だ。
ソ連の能力を引き継いだロシア
対照的に、ロシアは宇宙認識ネットワークをソ連から受け継いだ。ヨーロッパにおけるロシアの同盟国、特に旧ソ連と東側諸国はこのネットワークの視界を拡張している。結果として、ロシアは「比較的完全な人工衛星の目録」を持っているとSecure World Foundationは結論づけている。
しかし、宇宙兵器に関しては、ロシアはいまだ米国と中国に大幅な遅れをとっている。ソ連が最後に実施した衛星攻撃テストからロシアが初めて周回軌道兵器実験を実施するまでの間に31年の隔たりがあった。2013年のクリスマスデーにロシアはひそかに小型の操縦可能な偵察宇宙機を低軌道に打ち上げ、この小型宇宙機を通信衛星群の中に隠した。
2機の宇宙偵察衛星、1つは2014年5月、もう1つは2015年3月が続いた。ロシアはこれらについて多くを語っていないが、軌道攻撃機がとる行動と一致する類の演習を行っているのをアマチュアの人工衛星マニアが追跡した。「恐らくレーザーを装備できると思います」と『Russia in Space: Past Explained Future Explored』の著者であるAnatoly Zak氏はロシアの小型衛星について述べた。「何らかの爆発物を取付けたかもしれません」。
地上センサーと、今のところ流血なき新冷戦の最前線にある周回軌道センサーによって構成された宇宙兵器の数は、そのネットワークを拡大し続けているのである。
(David Axe)
(David Axe氏はWar Is Boringの編集者。Daily Beast誌にも定期的に寄稿している。同氏はWiredマガジンのDanger RoomとPopular Scienceマガジンにも寄稿している。本記事の見解は同氏個人のものである)
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