いつの間に「宇宙」は戦争の瀬戸際にあった 米・中・ロの間で新しい冷戦が勃発している
空軍宇宙軍団のウェブサイト上の説明によれば、30個の地上レーダーと望遠鏡によるネットワークが周回軌道上のセンサーを補足している。あわせて、これらのシステムは1日あたり38万から43万件の観察を行っていることになる。
他国の人工衛星を監視・追跡することは受け身的な行動であり、基本的には平和的な行動と捉えることができる。しかし米軍は敵側の人工衛星に接近し調査または損傷させることさえ可能な宇宙機を少なくとも6機保有している。
小型シャトル「X-37B」が持つ潜在力
2010年に空軍は「X-37B」スペースプレーン1号機を打ち上げた。X-37Bは古いスペースシャトルの1/4のサイズの無人ロボット版であり、ロケットの先端部に載せられて高度約250マイルの低軌道へ打ち出されるが、帰還時には飛行機のように地上に着陸できる。
2機のX-37Bが順番に1年以上、軌道上を周回した。公式には、空軍はこの操縦可能な小型のシャトルを「高信頼再利用型無人宇宙試験プラットフォームに向けた技術を立証する実験的な試験プログラム」の一部として説明している。しかしX-37Bは他の宇宙機を攻撃することも可能である。
「X-37Bは偵察衛星や集結地点としての利用も可能であり、友好的か敵対的のいずれにせよ、人工衛星を捕らえ周回軌道から除去することが可能である」とSecure World Foundationの宇宙支援グループは指摘する。同グループはX-37Bが兵器として運用される可能性は低いと強調している。
なぜならば、このミニシャトルは低軌道に限定されており、また、米国は他にも操縦可能な人工衛星を少なくとも4機運用しており、それらの機体のほうが敵側宇宙機をストーキングして破損させるのにはX-37Bよりも断然優れているからだ。
これらのうち2機は、米軍が2006年に低軌道に打ち上げた「マイクロサテライト技術実験(MiTEx)人工衛星」だ。MiTEx衛星は小型で重量は各々500ポンドしかない。敵側センサーから発見しにくく、戦時には不意をつける優位性となる。
別の2機は静止軌道宇宙状況認識計画衛星である。こちらはずっと大型で高度も高い。2014年7月以来、地球から高度2万2000マイルの軌道上にあり、その静止位置から他の人工衛星を監視し、空軍によれば「付近の人工衛星で興味のあるものを操作可能で以上解決と強化監視を特徴付けることが可能である」とのことだ。