狙われる台湾の小型株市場、私腹を肥やす投資信託関係者

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台湾の株式市場で、ある上場銘柄が投資信託関係者を脅かしている。政府の行政院金融監督管理委員会から最も厳しい処分が下されるとの観測が流れているのだ。具体的には、ファンドマネジャーが職権を利用し上場銘柄の株価操作を行い、私腹を肥やしているという。

対象となっている銘柄は盈正豫順電子(エイブルレックス)。UPS(無停電電源装置)と太陽光発電システムのメーカーだ。同社は昨年9月9日、新興銘柄の「興櫃売買市場」から店頭公開市場に当たる「櫃台売買市場」に転じた。資本金はわずか4億5000万台湾ドル(1台湾ドル=2・53円)の小型銘柄。当時、櫃台売買市場への上場売り出し価格は1株185台湾ドルだったが、初日に505台湾ドルに上がり、5日後には最高値の562台湾ドルをつけた。

しかし、最高値を記録した当日の取引量はわずか706枚(1枚=1000株)。うち投資信託の買い越しが211枚と、全体の3割を占めた。当時、すべての投資信託が保有していた同社株式数は2123枚。公開された株式総数3733枚の半数以上を握っていたことになる。これら投資信託の買い注文が、同社の株価を500台湾ドルにまで押し上げた原動力といえる。

盈正豫順は櫃台売買市場への上場前、通常の企業上場の際に行う法人向け説明会を開催せず、将来の業績動向も説明しなかった。しかし、このことがかえって、同社を“謎めいた”存在に仕立て、市場からの注目を集めた。ところが、昨年9月末からは同社の株価は急落を始める。半月後には260台湾ドルと、ピーク時の半値以下に落ち込んでしまった。

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