全米プロ「マキロイ対スピース」の勝者は? 本質を見抜く力の競い合いになる

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5週間ぶりに戦線復帰するマキロイ。故障の原因になったサッカーは「大事なリフレッシュの1つだし、ゴルフ以外の僕の人生の一部でもあるから、今後もやめるつもりはない」と、きっぱり言い切った。世間やメディアからどんなに批判されようとも、自分の主義は貫き通す心づもりだ。

テニス界の女王キャロライン・ウォズニアッキとの婚約破棄の発表も、故障による戦線離脱や復帰の発表も、すべてSNSで行っている現代っ子でもある。世界ランキングにおけるジョーダン・スピースの追撃は想像以上に早かったのではないかとメディアから問われると、マキロイはこう答えた。

「いや、ジョーダンのこの12カ月のプレーぶりは素晴らしかったし、今は何もかもが素早く動く。1年前、僕がこの大会で優勝したときはローリー時代。ジョーダンがマスターズで勝ってからはジョーダン時代。最近は誰かの時代が20年も続くわけじゃない。一時代の寿命は、せいぜい6ヶ月。ソーシャルメディアが発達している現代は、何もかもがインスタント。僕らは、そういう時代に生きているんだ」

本質を見抜く力の競い合いに

情報が溢れるスピード時代。それは、ゴルフにおいても同じこと。情報のみならず、噂、まやかし、評判、野次、そして多大なる期待とプレッシャー。いろいろあれど、周囲に惑わされず、物事の本質、一番大切なことを見抜く力が求められる。

元来、クラブプロの大会として創設された全米プロはメジャー4大会の中では「格下」と言われて久しかった。だが、そんな格付けも今は昔。あらゆるランキングがポイントで変動する今は、全米プロも他の3つのメジャー大会とまったく同格だ。

が、マスターズに向けて十分に備える選手は多いが、6月に全米オープン、7月に全英オープン、そして8月とメジャーが続くと、全米プロはついつい準備が甘くなり、勢いや流れで臨んでしまいがちだ。疲労や惰性は目を曇らせる。トッププレーヤーであっても、目が曇ってしまったら、いろんなものに惑わされ、一番大事なものが見えなくなってしまうのではないか。

英国リンクス風のウィスリングストレイツで開催される今年の全米プロは、本質を見抜く力の競い合いになる。

舩越 園子 在米ゴルフジャーナリスト

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ふなこし そのこ / Sonoko Funakoshi

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年にフリーライターとして独立。93年渡米。在米ゴルフジャーナリストとして新聞、雑誌、ウエブサイト等への執筆に加え、講演やテレビ、ラジオにも活動の範囲を広げている。『王者たちの素顔』(実業之日本社)、『ゴルフの森』(楓書店)、『松山英樹の朴訥力』(東邦出版)など著書訳書多数。アトランタ、フロリダ、ニューヨークを経て、現在はロサンゼルス在住。
 

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