全米プロ「マキロイ対スピース」の勝者は? 本質を見抜く力の競い合いになる

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巷で囁かれていることが、もう1つ。今年のメジャー4大会は「マスターズ以外は3つとも英国だ」と言われている。全英オープンの舞台となったセント・アンドリュースは言うまでもなく英国リンクスだが、全米オープンのチェンバーズベイ、そして今大会のウィスリングストレイツも英国リンクス風に仕立てられたコースだ。

しかし、それはあくまでも「英国リンクス風」であって、正真正銘の英国リンクスではない。ウィスリングストレイツに関して言えば、ミシガン湖に沿って配されたホールがリンクス風の雰囲気を醸し出し、フェスキュー風に生い茂る雑草が全英オープンを想起させるのは確かだが、選手たちの練習ラウンドを見る限り、プレースタイルは「英国リンクス風」ではなく「アメリカ風」だ。

求められるのは「点で狙うゴルフ」

フェアウエイは本物のリンクスのような硬さではなく、デコボコも英国リンクスより格段に少ない。ラフは本物のリンクスには見られないような美しい緑。フェスキュー風の雑草は、緑色のラフよりさらに外側に生い茂っており、よほど曲げない限り、インプレーにはならない。1000個以上のバンカーもリンクスっぽさを演出しているが、トッププレーヤーたちのプレーに関わるバンカーの数は、さほど多くない。そして何より、本物のリンクスのように低く転がして「面を使うゴルフ」ではなく、ウィスリングストレイツではピンポイントで「点で狙うゴルフ」が求められる。

選手たちの使用ギアを調査するダレルサーベイによれば、「全米オープンと全英オープンではロングアイアンをバッグに入れていた選手たちの多くが、今週はロングアイアンを抜き、代わりにハイブリッド(ユーティリティ等)を入れている」。それは、彼らが目指すゴルフが「面」から「点」に変わっている証だ。

2010年にこのコースで開催された前回大会でプレーオフに敗れて2位になったバッバ・ワトソンは「あのころは、まだ米ツアーで初優勝した直後で、メジャーに出ること自体、死ぬほど緊張していたので、スコアやプレー内容は緊張していたから覚えてないけど、このコースはフェアウエイキープこそがカギだと思ったことだけは覚えている」。だから今年も「フェアウエイキープこそがカギ」。

初めてこのコースに足を踏み入れた松山英樹も「ここはティショットが大事になる。ランも出ないし、そんなにリンクスっぽくないので、ショットの精度が本当に大事になってくる」。英国リンクス風であっても、やるべきことは米ツアーの日頃のレギュラー大会と何も変わらないという本質を、松山は18ホールを回った段階ですぐさま見抜いた。

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