「中宮彰子の出産後」に紫式部を襲った"深い憂鬱" 夜が明ければため息をつき、1人思い悩む日々

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元々、宮仕えをどうしてもしたいと思い、この世界に入ったわけでもないのです。(辞めたいな)という気持ちが紫式部の心を占めていたのでした。とは言え、急に辞めることもできない。(そのような想い、忘れよう、忘れよう)と紫式部の心は動揺していたのです。

紫式部は「水鳥も、外見はあのように、何も気にかかることなく遊んでいるように見えて、実は苦しいのだろう」と水鳥の「本心」と自分(紫式部)の心を重ね合わせたりしています。

心が晴れない時間が続く

そのようなときに、小少将の君(中宮彰子の女房。父は源時通。時通は、彰子の母・源倫子の同母兄弟)から手紙が届きます。

紫式部が返事を書くときに、時雨が降り、曇り模様になりました。「空模様も私と同じ。心騒いでいるよう」と記して、歌を添えて使者に託します。憂鬱な想いを断ち切ろうとしても、すぐにできるものではありません。紫式部の心は晴れないままでした。

(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数
X: https://twitter.com/hamadakoichiro
 

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