グーグルの新Pixelが「日本市場」を意識した理由 コンパクトハイエンドと折りたたみで4モデルを展開

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ほかにもPixelシリーズにはさまざまな場面でAIを活用した新機能がある。電話で、双方の声をハッキリと聞こえる様にするものや、話したことをその場で文字起こしするボイスレコーダーアプリなども用意された。

折りたたみもアップデート

Pixel 9 Pro Foldは、その基本設計が大きく見直された。前モデル「Pixel Fold」は、閉じた状態で小さめなスマホ、開くと新書版というサイズ感だった。今回は、縦方向にディスプレイを拡大。閉じた際の画面サイズは6.3インチで、Pixel 9 Proと同じディスプレイを採用している。開いた時は、正方形に近い寸法の約8インチとなる。

折りたたみディスプレイは小さなタブレット機のようなサイズ感で、アプリを複数起動したマルチタスク操作が快適に行える。縦方向に長いため、2つのアプリを左右に並べ、連携して使える。メールアプリを左側にならベ、メルマガで届いた記事を右側に表示したり、動画を見ながらSNSをチェックするといった使い方が便利だ。

開いた際の画面は正方形に近い(筆者撮影)
閉じるとPixel 9 Proと同じサイズに。コンパクトなスマホ感覚だ(筆者撮影)

新機種の特徴は、広げた時の薄さ。厚み約5.1ミリで、日本市場で販売されている折りたたみスマートフォンとしては最も薄いものとなる。たたんでも10.5ミリなので、ちょっと厚目のスマートフォンといった程度だ。

広げた状態の厚さは5.1ミリで、閉じても10.5ミリにとどまる(筆者撮影)

重量は約257グラムと、ディスプレイを内外両面に搭載しているスマホとしては十分軽量な部類に入る。iPhoneの最上位モデル「iPhone 15 Pro Max」の221グラムと比べると、単3形電池×2本ぶんほど重たいが、重量バランスが工夫されているため、開いて両手で持つと、それほど重たくは感じない。

もちろん、上記した多彩なAI機能は折りたたみPixelでも利用できる。音声アシスタントの「Gemini」は、分割スクリーンで起動することでマルチタスクとの親和性も発揮する。例えばGeminiとの対話中、別な画面で情報を参照し、それを見ながら別な質問をしたりできるのは、大画面あってこその使い方だ。

サブディスプレイと大画面双方を活用した、折りたたみならではの利便性も備える。ビデオ会議ツール「Meet」では、内側のディスプレイに会議の出席者全員を表示しながら、外側のディスプレイで自分の画面を共有したりも可能だ。グーグル翻訳を使う際、内側と外側の両方のディスプレイに翻訳結果を表示できるため、対面での多言語コミュニケーションがよりスムーズになる。また、新たにカメラに「こっちを見て」機能が追加された。外側のディスプレイにアニメのキャラクターを表示し、子どもの注意を引きつつ自然な表情を撮影できるというものだ。

周辺機器としてスマートウォッチの「Pixel Watch 3」(5万2800円〜)と、完全ワイヤレスイヤホン「Pixel Buds Pro 2」(3万6800円〜)も併せて発表されている。Pixel Watch 3は2サイズが用意され、ランニング向けの分析機能が新たに備わった。Pixel Buds Pro 2は今回、イヤホンとしての初めてTensorチップを搭載しており、AIとの親和性を高めている。

グーグルは、Androidエコシステムのけん引者としての役割を果たしつつ、折りたたみPixelに代表される魅力的な自社製品によるユーザーの囲い込みへと舵取りしてきた。ハードウェアメーカーとプラットフォームリーダーの両面で存在感を高める戦略は、業界の動向を占う上で重要な指標となりつつある。

石井 徹 モバイル・ITライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事