従業員満足度調査をCSRの視点で活用する《組織・人を強くするCSR 第6回》

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従業員満足度調査をCSRの視点で活用する《組織・人を強くするCSR 第6回》

佐藤 雅信
株式会社クレイグ・コンサルティング
シニアコンサルタント

近年、従業員満足度(ES)調査を実施している企業が増えている。2008年に労務行政研究所が行った調査によると、従業員満足度調査の実施率は6割を超えている(『労政時報』第3730号)。しかし、「従業員満足度を定期的に実施しているか」という問いに対しては、実施率は2割を切る結果となっている。この差は何を物語るのだろうか。

そもそも、企業はなぜES調査を実施するのか。当然ながら本来の目的は従業員の満足度向上であり、そのための材料とするためだ。しかし、「ES調査の実施」そのものが目的となってしまい、実施はしてみたものの調査結果がうまく活用されず、いつの間にか調査自体が立ち消えになる企業が多いことも事実だ。前述の実施率の差は、こうした実態を表していると見て間違いないだろう。

さらに、定期的にES調査を実施している企業を見てみると、下記のような共通項があるようだ。

(1)ES向上が目的であることを事前に明確にアナウンスしている。
(2)調査結果を従業員にフィードバックしている。
(3)調査結果から導き出された社内施策とその結果について従業員にフィードバックしている。

実は、これらは、その取り組み自体が従業員にとって動機づけ要因となるものだ。仮に導き出された社内施策が的外れで効果を発揮しなくても、「会社がES向上に取り組む」というスキームが、従業員のESを向上させるのである(もちろん、的外れな施策を連発するようなことがあればこの限りではないが)。

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