従業員満足度調査をCSRの視点で活用する《組織・人を強くするCSR 第6回》

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 ただし、このスキームが成立するには、PDCAサイクルのように循環型で継続的な取り組みが必要だ。たとえ、上記(1)~(3)を満たしていても、散発的な取り組みでは従業員の心に響かない。

従業員は企業にとって最も身近なステークホルダーである。だが、あまりに近い関係のためステークホルダーと認識されず、CSRの視点での取り組みが遅れている対象でもある。この遅れを取り戻すためのツールの1つがES調査である。継続的な実施から社内施策に結び付ける取り組みは、まさに「攻めのCSR」なのである。

CSR情報の1つとして発信するES調査結果

CSRの一環としてのES調査活用方法として、CSR報告書での結果報告が挙げられる。報告項目の1つとしてES調査結果を盛り込むことで、マルチステークホルダーへバランスの取れた取り組みを印象づけることができる。また、近年では就職活動にCSR情報が利用される場面が増えており(第4回参照)、応募者へのアピールとしても活用できる。

海外のCSR報告書掲載例としては、ネットワークシステム販売のシスコシステムズ、ロジスティクスのUPS、通信のBTグループ、総合金融のING等がある。

海外では、単なる満足度(エンプロイーサティスファクション)ではなく、「企業の成長に自発的に取り組む意識」を包含した概念としてエンプロイーエンゲージメントと呼ぶ企業も多い。それらも含めるとCSR報告書を発行している企業の半数以上が掲載している。

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