保育士たちのPTSDを手厚くケア、保育園大手JPホールディングスの「JPスクラム・プロジェクト」
「チューター制度」は、新入社員の保育士を20歳代の先輩社員がいる職場に配置するというものだ。新入社員のなかには、人間関係などで問題やストレスを抱えていても、相談することや周囲に話すのが苦手な人もいる。問題やストレスを抱えて、一人で悩み続けて、メンタルヘルス面で障害を持つようなことも出てくる。
いわば、“先輩社員が後輩社員を面倒を見る”ということだが、「チューター制度」はそれを社内システムとして組み入れようとする試みだ。年代の近い先輩社員と後輩社員が触れ合う機会をつくり、新入社員たちのメンタルヘルスをよい状態に保つというのが狙いとみられる。
「病は気から」ではないが、精神状態と病気の因果性は極めて強い。また、うつ病などメンタル面の病が企業の生産性を大きくむしばんでいることは、一般に知られていることだ。
メンタル問題で会社を辞める人を減らしたい
JPホールディングスが運営する仙台の保育園では、「東日本大震災」後、津波にやられた保育園が一時閉鎖されるケースもあった。ほかの保育園に“間借り”して、保育士たちは頑張ったが、精神的な疲弊から問題が出かねない状態だった。山口社長としても、深刻に事態を受けとめなければならない、と思ったに違いない。
保育園事業は、典型的な人的集約産業だ。JPホールディングスは、毎年、500人規模で大量採用を行っている。せっかく、仕事を覚えても、様々な事情で退職するようなケースが不可避的に生じる面がある。