原油価格、「1バレル30ドル時代」が来る イランの制裁解除はシェール革命に匹敵

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これから長期的に見たとき、エネルギー価格の主たる低迷要因は、北米のシェールオイルやガスの生産に加えて、イランの国際社会復帰による原油と天然ガスの増産にあるといえます。

石油の世界では、鉱区探索や採掘技術の進歩により、原油の確認埋蔵量が増えていくという現象が起こっています。

石油の確認埋蔵量首位はベネズエラに

たとえば、BP社が毎年発行しているエネルギー関連の調査報告書の最新版(2014年)によれば、世界の原油の確認埋蔵量のトップは、南米のベネズエラとなっています。ベネズエラの確認埋蔵量は2983億バレルと、この10年間で3倍以上にも増え、それまで世界1位とされてきたサウジアラビアの2670億バレルを追い抜いてしまったのです。

この急増の理由は、原油の採掘・処理技術の進歩と、過去10年間の原油価格の高騰にあります。原油価格が40ドル台に下がったからといっても、2000年以前の原油価格は20ドル程度だったので、現在でも十分に高くなっているのです。

ベネズエラ以外にも、この10年間に大きく確認埋蔵量が増えた国が2つあります。イランとそのお隣のイラクです。それぞれ、10年前に1327億バレル、1150億バレルだったもので、最新のレポートではイランが1578億バレル、イラクが1500億バレルと、20%~30%増加しています。両国は現在、ベネズエラ、サウジアラビア、そして主にシェールオイルを産するカナダに続き、世界の4位、5位を占めています。

実はアメリカも、シェールオイルの探鉱が進んだことで確認埋蔵量が、10年前の294億バレルから485億バレルへと大きく増え、世界トップ10に食い込んだのですが、それでもイラン、イラクとは桁がひとつ違います。

イランはペルシア湾、オマーン海、西部のザグロス山脈周辺など、全国各地に原油鉱区を有し、かつては日量600万バレルを超える生産量を誇っていました。 現在のイランの石油の生産量は日量で300万バレル弱とされ、うち輸出量は日量130万バレル程度となっていますが、経済制裁が発動される以前の輸出量は日量220万バレルもあったのです。

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