不完全であっても、イラン核合意は画期的だ 10年以上続いた交渉の歴史的転換点

✎ 1〜 ✎ 137 ✎ 138 ✎ 139 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
イランの核活動を抑制する歴史的な合意が成立。不完全かもしれないが、今回の合意の意義は小さくない(Heinz-Peter Bader/Reuters)

褒めるに値することは存分に褒めよう。イランの原子力発電が核兵器に簡単に変わることがないよう、イランの核活動を抑制する歴史的な合意が成立した。数年前から始まったイランに対する国際的な経済制裁は解除されることになる。

1962年のキューバミサイル危機以降に協議され、国際原子力機関(IAEA)に管理されることとなった核拡散防止条約(NPT)が大いに自制を強めた。イランとの交渉は、この体制の信頼性を保つうえで重要だった。

長きに渡った交渉の教訓

10年以上続いたこの交渉から学ぶべき大切な教訓がある。ロウハーニー・イラン現大統領は、2003年から2005年にかけてイランの核問題交渉責任者を務めた。当時のイラン大統領はイスラム法学者のハータミー。私は欧州連合(EU)代表として、貿易協力合意に向けた交渉を試みていたが、核問題が合意に至らず、前に進まなかった。

ハータミー元大統領による欧米諸国との対話の試みは、ブッシュ率いる米国政府の前では実ることなく、彼は人民主義で強硬派のアフマディーネジャードに席を譲った。しかし、当時のロウハーニーとの核拡散に関する協議において、イランは交渉を始めたEU3カ国に対し、合理的な妥協案を提示していた。

次ページ今回の合意のポイントは?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事