阪神タイガースが「2軍球場」を巨大化する懐具合 総工費145億円で西宮から尼崎に2025年3月移転
ボールパークは、早くもファンから注目を集めている。
8月6日に行われた工事の内覧会(日本建設業連合会が主催する親子向けイベント「けんせつ探検隊」として実施)は、抽選で選ばれた30名の親子が出席。ほぼ全員がタイガースファンだ。内覧会の受付開始時間にはすでに7割近くの親子が会場入りするほどの熱の入りようだった。
「おもしろーい」「広いなあ」。メインスタジアムなどの工事の様子を見て回った子どもたちからは、ときおり歓声が上がった。
内覧後の質疑応答では、「工事費用はいくらぐらい?」「工事現場で気を遣っていることは何?」といった質問を工事関係者に矢継ぎ早に投げかけた。中には、「ゼロカーボンって何のこと?」「どうやってゼロにするの?」と、関係者が回答に戸惑うような本質的な質問も出た。
タイガースがファーム施設をグレードアップする背景には、ボールパークを収益源のひとつにしたいとの思惑がある。阪神阪急HDの広報IR担当者は率直に語る。「(新球場は)もちろん収益化を意識している」。
ファーム施設を「コンテンツ」に
プロ野球球団では今や、ファーム施設をコンテンツとして収益化しているケースが多い。
福岡ソフトバンクホークスは、2016年にファームの本拠地を「HAWKSベースボールパーク筑後」(福岡県筑後市)に移した。ボールパーク内には2つの球場に室内練習場や寮・クラブハウスを備える。オフィシャルグッズストアや飲食店もある。
メインスタジアムは約3000席。ファームの公式戦で入場料(内野指定席1400円など)を徴収しているにもかかわらず、多くの熱心なファンが詰めかけている。
一方、タイガースの現在の鳴尾浜球場は500席ほどしかない狭い球場で、入場料は基本的に無料だ。1994年の竣工で、設備の老朽化も目立っていた。最寄り駅から徒歩で20分ほどかかるなどアクセスも不便だった。
その点、新ボールパークは最寄りの阪神電鉄大物駅から徒歩5分ほどの好立地。移転と同時に、入場料の有料化を企図する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら