阪神タイガースが「2軍球場」を巨大化する懐具合 総工費145億円で西宮から尼崎に2025年3月移転

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阪神タイガース2軍球場
ボールパークの全体像。メインスタジアム、市民球場に加え、市民が交流する公園や周遊コースも整備される(記者撮影)

「お客様にきちんとしたサービスを提供できるような施設にしていかなければならない」(阪急阪神HDの広報IR担当者)としており、メインスタジアムには物販・飲食店も整備されそうだ。そこで得た収益は、選手の練習環境を維持・再整備する費用に充当する算段だ。

プロ球団の施設の受注がかなった熊谷組

新ボールパークの工事を請け負ったのは老舗ゼネコンの熊谷組だ。スポーツ施設では、陸上やラグビー場、そして地方の市民球場で実績があるだけで、プロ野球球団の施設を請け負うのは初のケースとなる。

「12球団しかないプロ野球球団が球場を建て替えることは少なく、めぐりあえない(受注の機会がない)もの。(今回は)なかなかないチャンス」と、熊谷組の遠藤工事所長は特別な工事であることを強調する。

もともと、熊谷組は球技への思い入れが深い社員が多かった。1990年代前半にバスケットボール部や野球部は休部となったが、バスケ部は実業団リーグの名門だった。野球部には元プロ野球選手のパンチ佐藤氏が在籍していたことや、都市対抗野球で優勝した実績があることでも知られる。

実は、新ボールパークの受注を最終承認した櫻野泰則会長(当時社長)は、京都大学の野球部の出身。熊谷組には一般社員として入社したが、野球部に入って投手を名乗り出たほどの野球好きだ(ただ練習中に全力で投げていたところ、キャッチャーから「そろそろウオーミングアップは終わりな」と言われ高い壁を感じた、とのエピソードがある)。

櫻野会長は「東京ドームの看板に、熊谷組の広告を出したい。出せないかな」と周囲につぶやいていたこともある。球場施設の受注への思いは強く、もともと阪急阪神HDとは鉄道関連工事などで取引があることもあり、今回の受注につながったようだ。

新ファーム施設のメインスタジアムには、甲子園球場と同じく、海からの「浜風」が吹き付けるという。タイガース球団や阪急阪神HD、そして熊谷組といった各社の熱い想いを乗せた新ボールパーク。ファンに愛される施設となるか。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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