阪神タイガースが「2軍球場」を巨大化する懐具合 総工費145億円で西宮から尼崎に2025年3月移転

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阪神タイガース2軍球場
新しい2軍球場は両翼95メートル、中堅118メートルと、甲子園球場とまったく同じサイズになる。LEDナイター照明塔6基やバックスクリーンなども備える。グラウンドには現在夏用の芝が張られており、秋には冬用の芝の種がまかれる(記者撮影)

「タイガースは儲かっているからなあ。お金のあるうちに移転しようと思たんやろうなあ」

そうつぶやいたのは関西私鉄グループのベテラン社員。「移転」するのはプロ野球球団・阪神タイガースが兵庫県内に構えるファーム(2軍)施設だ。現在は西宮市鳴尾浜にある施設を、2025年3月に尼崎市小田南公園へ移す。

ファームの本拠地として、メインスタジアムだけでなく、練習用の小さなグラウンドや室内練習場、選手寮・クラブハウスを新設する。加えて、市民球場や市民がくつろげる公園も一体的に整備することにより、「ボールパーク化」する。総工費は145億円に上る。

【写真】ボールパークの全体像や工事の内覧会の様子。参加者に好評だったタイガース仕様のヘルメットも

タイガースは新施設を「ゼロ・カーボン・ベースボールパーク」として打ち出す。太陽光発電・蓄電池の導入や廃棄物発電の活用による脱炭素化、ペットボトル・プラスチックカップの回収・リサイクル、そして雨水・井水の活用など環境に配慮した運営を行う。

チーム同様に阪急阪神HDも業績好調

一般的に、1軍球場に比べて地味になりがちなファームの施設を環境配慮型の巨大ボールパークとして運営することは珍しい。それを実現できるのは、タイガースが全国区の人気球団というだけではなく、1軍の成績が足元で好調なことが挙げられる。

昨年は岡田彰布氏が15年ぶりに監督就任。復帰1年目にしていきなり38年ぶりの日本一に輝いた。今年のペナントレースも徐々に調子を上げ、現在は首位争いの一角を占めている。

チームが好調なこともあり、もともと熱狂的と言われるファンの応援姿勢もヒートアップしている。「甲子園球場でのタイガース戦チケットを予約するのは、今はなかなか難しい」(冒頭の関西私鉄グループ社員)。

タイガースの親会社である阪急阪神ホールディングス(HD)の業績も好調だ。チームの成績は阪神電車の乗客数や、阪神電鉄の運営する甲子園球場の入場者数などに大きな影響を与える。阪急阪神HDの業績をも左右する。

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