社長電撃解任で明るみ、オリンパス放漫経営の闇
また、こうした重大な決議が、本来必須とされる電子承認システムの利用を経ず、正式なプロセスを省く稟議の形で実施されたことも問題視。「不適切な行為が行われた可能性を排除することはできない」と結んでいる。
アドバイザーの2社は、米ニューヨークおよび英ケイマン諸島に登記しているが、住所、負債額など事業運営の実態が確認できず、600億円超もの大金がどこに流れたかは、いまだ不明のままだ。
もう一つは廃棄物リサイクルのアルティス、サプリメント製造のヒューマ・ラボなど、小規模のベンチャー3社を総額734億円の巨額で買収した案件。3社はわずか9カ月後の期末に計556億円ののれん減損を強いられた。買収金額の4分の3が吹き飛んだことになる。「ケイマン諸島の訳のわからない会社や弱小企業3社に、なぜ巨額のカネが支払われるのか」。ウッドフォード氏は憤慨する。
同氏は7月下旬ごろ、こうした資金流出の存在を知った。9月下旬以降、菊川会長や森久志副社長に事実関係や詳細を確認する書簡を複数回にわたり送付。さらに、今月11日にPwCの報告書を添えた書簡を役員らに送り、菊川、森両氏の解任を求めた。
だがそのわずか3日後、臨時取締役会に招集されると、逆に自らが追放される身となってしまった。「ここでは意思決定のすべては菊川が握っている。役員は皆言いなりだ」(ウッドフォード前社長)。
時価総額は半分に
軟性内視鏡で世界シェア7割を有する優良企業のオリンパス。だが、ベンチャー投資への傾注は菊川氏の社長時代に、ひっそり続けられてきた。