澤上篤人「日本が長期株高トレンド入りした3要因」 投資はマネーの大きな流れに乗っていくこと

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すると、それまでの好景気は急減速しはじめ、個人消費も一気に落ち込んでいく。不況への突入だ。

それを見るや、国は景気対策の予算を投下する。減退した需要を喚起しようと、公共事業などを連発することになる。また、中央銀行は低金利政策に打って出る。

株式投資に入るべきタイミングとは?

低金利政策は、いってみれば、家計から法人部門への半強制的な所得移転政策である。個人や家計に、「景気が悪いから、我慢してくれ。預貯金の利子収入は減るが、その分で企業に頑張ってもらおう」ということだ。

この段階でのマネーの流れはというと、個人や家計が本来手にできていたはずの利子所得が、強引に法人部門へ向かわされている。つまり、家計から見ると利子所得を減らして、その分を企業に「しっかり儲けてください」と差し出しているのだ。

別の見方をすると、家計は企業にせっせと大きな資金を貢いでいるわけだ。「ここは我慢するから、うんと儲けて景気を良くしてね」といいながら。

そう、個人や家計は利子収入を減らして、せっせと企業の将来利益に貢献しているのだ。そういうことならば、低金利時にはどんどん株を買っておけば良いはず。それが、経済的にも合理的な行動となる。

株式投資は、企業の将来利益に期待して投資する行為である。ならば、低金利政策で家計から法人への所得移転が進んでいる時は、株式投資するにあたって最高の局面といえるはず。

不景気で企業の業績悪化が続き、株価全般はやたら安値にまで売り叩かれている。でも、マネーの流れは企業の将来利益増加へと向かっているのだ。ここで株を買わない理由はない。

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われわれ本格派の長期投資家は、不況時に株式への投資ポジションを100%にまで高める。景気が悪く、株価全般も安いから、選り取りみどりで将来好望株を買い仕込みできる。

逆に、不況時すなわち低金利時に、債券投資はあり得ない。なぜなら、不況を脱しようと、国を挙げての景気回復に突き進んでいるのだ。景気が良くなれば金利も上昇するし、債券価格は下がる。

ということは、低金利時に債券を買ったところで、得られる利金収入などは、きわめて限定的である。それどころか、景気が回復するにつれて金利は上昇し、債券価格は下落して損するだけ。

そう、低金利時に債券投資なんて、下の下の投資をやらかすことになる。ましてやゼロ金利時やマイナス金利政策が続いている間は、利金収入もゼロだし、金利が上昇しだすと債券価格の下落で大損するだけだ。

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澤上 篤人 さわかみ投信創業者

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さわかみ あつと / Atsuto Sawakami

さわかみ投信創業者。1947年、愛知県名古屋市生まれ。1973年、ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。1979年から1996年までピクテジャパン(現・ピクテ投信)代表取締役を務める。1996年にさわかみ投資顧問(株)を設立、1999年には日本初の独立系投資信託会社であるさわかみ投信(株)を設立。長期投資一筋の資産運用で個人投資家の人気を集め、顧客数11万人、純資産総額4400億円のファンドに成長。『10年先を読む長期投資』(朝日新書)、『金融の本領』(中央経済社)、『本物の株価上昇の波が来たぞ!』(日経BP社)など著書多数。

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