第1は、先進国を中心にした世界的なカネのバラまきだ。国や中央銀行がマネーを経済の現場へ大量にバラまいている状態を、「過剰流動性」という。
過剰流動性の下では、あり余ったマネーが経済活動の現場を越えて、株式市場など金融マーケットにも、どんどん流れ込んでいく。大量に流入してくるマネーが、株価などの上昇を強力に下支えする。
第2が、年金マネーによる、コンスタントな株買いである。年金として積み立てられるマネーは、今日まで増え続けてきた。その資金が運用を求めて、世界の株式市場や債券市場にどんどん流れ込んでいった。
膨れ上がる一方だった年金マネーが、運用を求めて株式市場などに次から次へと流れ込んでくる。それが世界の株価全体をずっと押し上げてきたわけだ。
第3が、大規模な金融緩和。2008年9月に発生したリーマンショックで世界は金融危機に直面した。金融不安をなんとしても阻止しようと、先進国を中心に主要各国はゼロ金利やマイナス金利政策の導入、ならびに史上空前の資金供給を断行した。
これは、金利を引き下げて資金を大量に供給しさえすれば、経済は成長する。そう主張する、マネタリズムの考えに沿ったもの。
これらの3つが重なって、40年越しの株高現象となっているわけだ。
資産デフレにのたうちまわる
カネ余りバブル高を続けてきた株式市場が暴落に一転すると、個人投資家も機関投資家も大きな投資損失を抱え込む。それは避けられない。
個人投資家の場合は、「しまった、大損した」と嘆いたり、最悪なら破産して夜逃げに走ったりと千差万別だが、いずれにしても、自分の問題として終わるだけ。
一方、機関投資家や企業など法人投資家は大変である。いずれも巨額の投資損失をこうむると同時に、投資家顧客への運用責任や資金提供先への返済義務を果たさなければならない。これは、きつい。
その寸前までは、ごきげんで膨れ上がっていた投資勘定だ。それが、暴落相場で一挙に大きく目減りする。株価などがドスーンと下がった分だけ、資産勘定は蒸発したかのように大きく目減りしてしまうのだ。
一方、投資家顧客からの預かり運用契約や金融機関などからの借り入れ勘定は、まるまる残っている。資産勘定の大きな目減りに対し、そのまま残っている預かり運用分や借り入れ勘定との差額を「資産デフレ」という。
それまで、もっともっと儲けようと買い上げてきた上昇相場だ。それが暴落すると、必ず巨額の資産デフレが発生する。その資産デフレは機関投資家や法人投資家に、ずっしりと重くのしかかってくることになる(図表1参照)。
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