JFE、海外攻勢に不可欠な国内の"鍛錬" JFEホールディングスの林田社長に聞く

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──2014年の大手鉄鋼メーカーのうち上位10社中、6社を中国メーカーが占める。中国企業はさらなる新規製鉄所の立ち上げを進め、再編気運も高まっている。JFEグループは世界9位。上位ランクから脱落する危機感はないか。

鉄鋼業の基本は製鉄所単位の競争力と、一体となった営業力にある。造っているものがどれだけよくて、いかに安くできるか。そこに売る力が合わさって、(企業としての)競争力を測る指標になる。中国の鉄鋼メーカーが完全に1つになると意味はあるが、バラバラであるかぎり、あまり恐れることはない。

林田社長は「とにかく足腰をきっちり鍛える時期に来ている」と強調した。

――今後の成長戦略をどう描くのか。

2020年以降は国内の鋼材需要が減っていく。だから海外でどんどん成長の芽をつかんでいかなければならない。2014年度に3200万トンだったJFEブランドの鋼材販売量を、2020年までに4000万トン、そこから5年後の2025年には5000万トンを視野にいれなければならない。

荒っぽく言えば、日本のJFEから(海外の加工拠点に)出荷していたものを、15%出資するインドのJSWや出資を検討中のベトナムから出荷する、日本のJFEは浮いた鉄源でまた違うものを造ることで、全体の販売数量を大きくしていく。増える部分はもうすべて海外。だから海外売上高比率が60~70%になっていないと成長できない。そこへ向かって走っていくために、とにかく足腰きっちり鍛える時期に来ている。

10年後の姿から中期計画を作った

――現在、JFEブランドの販売量3200万トンのうち、日本のJFEの販売量は2900万トン、海外など提携先からの調達は300万トン程度。10年後に5000万トンへ引き上げるために何が必要か。

どちらかといえば、(海外企業との)提携戦略が主体となる。繰り返しになるが、こうした戦略は10考えたうちの1つか2つを実現させるのが精いっぱい。あと10年間で5000万トンに引き上げるためには100ぐらいのこ とを考えないと難しい。

――4月に発表した中期経営計画にはそこまでの姿は記されていない。

 中期計画はあくまで3年間のもの。10年後の2025年の姿というのは社内でいろいろ言っているが、外に言っても「10年後の姿なんて、好きなことを言ってるだけ」と思われるから公表していない。ただ社内では「だいたい2025年にJFEはどういう会社でありたいか」という点からスタートして、この議論にかなりの時間を費やした。

(撮影:尾形文繁)

「週刊東洋経済」2015年7月25日号〈7月21日発売〉「この人に聞く」を加筆)

 

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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