JFE、海外攻勢に不可欠な国内の"鍛錬" JFEホールディングスの林田社長に聞く

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――2015年4月に発表した中期経営計画(第5次中期)では、海外の一貫製鉄所建設計画を撤回し、代わりに国内製造基盤の強化を打ち出した。

2020年のオリンピック、パラリンピックまでは再開発や国土強靭化など、さまざまな需要がでてくると思う。だが、政府の財政がこうした状態にある以上、その先は公共工事が減っていくだろう。GDPというのは人口の関数だ。人口が減ると、需要そのものも伸びない。だとしたら、国内の鋼材需要が増えると考える人はいない。

はやしだ・えいじ●1950年生まれ。73年旧川崎製鉄入社。2002年、JFE誕生とともにHDの常務執行役員就任。10年にJFEスチール社長を経て15年4月から現職。

国内の製造基盤を強化する時期がきている。製鉄所が稼働してから40年以上経過し、老化現象が予想していたスピードよりも早く起きているのは事実。やはり新しい設備と高齢化した設備では、起きる症状が違っており、この点に関しては十分な知見がなかった。ここ数年で未体験のゾーンに入ったと考えている。

だから、きっちりと投資をやること。国内需要が減っても耐えられる体力と財務体質を持っている必要がある。これからは嫌でも海外展開をしていかなければならない。

――最近は収益力が落ちている。2003年度から2008年度まで営業利益率は2ケタ台だったが、現状は5%程度まで落ちている。他社と比べても鋼材1トン当たりの単価が安い。この理由をどう考えたらよいか

重要な指標は1トン当たりの収益力

それはまったくナンセンスな比較だ。各社で作っている鋼材の種類が違うので、1トンあたりの売上げ高で比べることはあまり意味がない。1トン当たりの収益力がどれだけか、ということが重要な指標だ。

――だが、最近の1トン当たりの収益力も・・・。

(新日鉄住金に)負けている。 

――その理由は?

 まずは設備トラブルが多発しており、十分な生産量を確保できていないこと。次に、あえて補修費を使って、老朽化設備の更新によって足腰を鍛えようとしていること。加えて、原料となる石炭を焼き固めるコークス炉の更新時期にあたっている。

東日本製鉄所の千葉地区で1基、西日本製鉄所の倉敷地区で2基更新しているので、不足するコークスを外部から購入している。コークス炉の操業が落ちていることで、副産物の可燃性ガス(注:製鉄所構内の発電などに活用されている)が出てこない、外部から購入するエネルギーも増えている。こうしたことが、いろんなところで起きている。

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