蔓延する「うつ病」と企業社会--98年から自殺者急増、景気低迷が背景に
「健康問題」のなかで最大の原因・動機は「病気の悩み・影響(うつ病)」
自殺の最大の原因・動機となる「健康問題」では、「病気の悩み・影響(うつ病)」が10年7020人(09年6949人、08年6490人)と最も多い。71人の増加、ますます高水準となっている。しかも毎年、増加し続けている。「健康問題」のなかでも、「うつ病」が自殺のトップの原因・動機となっている。全自殺者の22.1%を「病気の悩み・影響(うつ病)」が占めている。
第2位の原因・動機の「経済・生活問題」では、「生活苦」や「失業」が大きな要因となっている。「経済・生活問題」やその不安から「病気の悩み・影響(うつ病)」に発展したり、あるいは重なり合ったりすることもあるのではないかと思われる。
現象的に見ると、高度経済成長期は自殺者そのものも少なく、「うつ病」も少なかった。あるいは「生活苦」も「失業」も少なかった。社会全体が貧しくとも、明日への希望(経済成長)があった。企業社会など社会全体も「日本型」でゆとりや助け合いやよい意味での“いい加減さ”、“融通無碍さ”があった。
いまは社会全体的には豊かでも、明日への希望はまったく見えない。企業社会にもゆとりや助け合う、許し合う、“いい加減さ”、“融通無碍さ”の幅がなくなっている。
いま、企業社会が抱えている「健康問題」では、社員たちの「うつ病」が最大のテーマとなっている。
「うつ病」は、経営者や総務担当者が避けて通れない深刻な問題になっているわけである。
経済の長期低迷が企業社会を「うつ病」の温床に変えた
経済の長期低迷が企業社会を「うつ病」の温床に変えている。企業は成長性を失い、社員たちのポストや賃金や経費をカットし、ノルマなどを増やすといったことを行うことが少なくない。