蔓延する「うつ病」と企業社会--98年から自殺者急増、景気低迷が背景に
「失われた10年」がすでに「失われた20年」になっている。それどころか、「失われた30年」に長期化する可能性が高まっている感がある。
警察庁の「自殺統計」、さらに内閣府の「自殺対策白書」によると、自殺者が一気にハネ上がって急増したのは1998年からである。それ以降は超のつく高水準横ばい状態にある。
「不動産バブル」崩壊による巨額不良債権問題が長期化し、大手銀行など金融機関の倒産が続発。大手銀行などの必死の生き残り策である再編成・合併などの日本経済の「愁嘆場」のボトムに差しかかった時期からである。この時期、一般の企業も一斉にリストラに走った。
経済が停滞し、しかも先行きが見えない。社会全体に暗い空気が広がり、閉塞感に覆われている--。いわば、「世紀末」の病にも見えたが、しかしそれは新しい世紀になってもまったく変わるものではなかった。
リーマン・ショック、東日本大震災・・・、新世紀に入っても閉塞感はむしろ強まるばかりである。
50歳代男性を除くと「健康問題」が自殺の断トツ原因・動機
2010年の自殺者総数は3万1690名(09年3万2645名、08年3万2249名)。前年の09年より1155名の減少となっている。とはいえ、3万人の有難くない大台は継続している。
東日本大震災が勃発した2011年は大きく増加する懸念を生じている。
10年の自殺者の原因・動機では、その原因・動機が特定されている「特定者」が2万3572人(全体の74.4%)。「不特定者」が8118人(全体の25.6%)。
「特定者」は、遺書、自殺サイトやメールへの書き込み、生前の言動などから断定されたものだ。