蔓延する「うつ病」と企業社会--98年から自殺者急増、景気低迷が背景に
経営者などトップ層は割合に気楽だが、現場=ボトムの中間管理職以下は追い詰められていく。日本企業でありがちな姿だ。日本型経営の根幹にあった擬似的な「家族主義」なども多少は残っているものの、ほとんど消えかけている。
「年俸制」などの成果主義的な給与の導入なども、便宜主義的というか、つまりは経営サイドのご都合主義で導入した面が強い。企業社会に不安や不満をひたすら増殖する結果を招いた、といえるような気がする。
会社を辞めれば精神的には楽になるか--。しかし、辞めれば、失業や生活苦が待っている。不安で辞められないから、定年を過ぎても、なんとか会社にすがって委託契約社員などで残ろうとする。夕方、ガード下の居酒屋などで“リフレッシュ”をしようとしても、アルコールで心身を患うのみである。
「うつ病」は現代企業社会の伝染病
ある有名大企業の社員たちの30%が「うつ病」になっているなどといううわさもある。うわさではあるが、いくばくか以上の信憑性もないではない。成長性が止まり、ポストがなくなり、賃金格差などが極端に広がり、経費も使えない。それとともに社内に「うつ病」が蔓延している。ストレスや不満が溜まり、希望や逃げ場がないことから、心身が蝕まれていく。
社内で「うつ病」が増えると「うつ病」はまた社内に伝染していくという見方がある。
社員の一人が「うつ病」でダウンすると、その部課は生産性が下がる。その分を同僚がカバーしなければならないから、無理が生じて同僚も「うつ病」になる。
その部課は、「うつ部」、「うつ課」になりはてる。かくして、「うつ病」は現代企業の伝染病である、ということになる。
現代日本企業の経営者、総務関係者は、この伝染病を克服する闘いに取り組まなければならない。この伝染病には、特効薬があるわけではない。膨大なコストや時間をかけても片付かないことも少なくない。それでも現実から逃げるわけにもいかない。表立っては表面化を避けているが、企業経営における大きな課題・問題であることは隠しようがない。
(東洋経済HRオンライン編集部)
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