蔓延する「うつ病」と企業社会--98年から自殺者急増、景気低迷が背景に

拡大
縮小


原因・動機では、「健康問題」が1万5802人と最も多い。「健康問題」が全自殺者の49.8%という断トツの原因・動機になっている。それに続く原因・動機では、「経済・生活問題」7438人。「経済・生活問題」は全自殺者の23.4%。

さらに「家庭問題」4497人、「勤務問題」2590名、「男女問題」1103人、「学校問題」371人。「健康問題」は、自殺者におけるあらゆる年齢層のトップの原因・動機となっている。

50歳代~40歳代男性の自殺は「経済・生活問題」がトップの原因・動機

ただし、例外を探せば、50歳代の男性、ここでは「経済・生活問題」がトップとなっている。50歳代も全体では、「健康問題」がトップの原因・動機だが、こと50歳代男性は少し違っている。「経済・生活問題」の原因・動機では、50歳代の男性たちが大きく指数を引き上げている。

50歳代男性ほどではないが、40歳代の男性にも「経済・生活問題」が自殺の原因・動機として大きく浮上している。他に例外を上げると19歳以下の特に男性が「学校問題」がトップの原因・動機だ。いじめや進学問題が背景だろうか。

50歳代~40歳代男性の自殺は、自営業の中小企業・家族企業などの経営者がその中心なのか。景気の長期低迷、資金繰りの悪化などが50歳代男性を追い詰めている可能性がある。あるいは、大企業の中間管理職などもここに一部が入るかもしれない。リストラの不安、失業、生活苦などが原因・動機となっている。

ちなみに女性は、あらゆる年齢層で「健康問題」がトップの自殺の原因・動機だ。50歳代の男性たちのような例外現象はない。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT