ちなみに、最近ネット上で得た情報によると、日本でも利用者が激増している格安航空(LCC)について、キャンペーン価格で購入したチケットを適当な金額で転売する例がけっこうあるそうだ。「チケットの他人への譲渡は禁止」と謳っていたところで、前述のような流れを改めて考えると抜本的な防止策を実行するのは難しそうだ。
搭乗までに個人データ提出がお決まり
では、諸外国での手続きはどうなっているのか、改めて調べてみた。
筆者の経験からすると、少なくとも米国で起きた「911同時多発テロ」のあと、「身分証明がノーチェック」のままで飛行機に搭乗できたケースは記憶にない。むしろチェックが強化されて「えっ! またパスポート見るのか? さっきも見せたじゃないか」と面倒だなあ、と思うことのほうが多い。
たとえば、欧州連合(EU)域内の旅行では、チェックイン手続きおよび搭乗ゲートで必ずパスポートの提示が求められる。それ以前に、予約や発券から搭乗日までの間にも、パスポート番号の入力を忘れていると、「早く事前旅客情報システム(APIS)に必要なデータを登録して欲しい」と国内線に乗る時さえも催促される。つまり、当局は万一に備えて乗客のデータを事前に把握しようとしているのだ。
一方、日本の事情を考えてみよう。現状を検討してみると、日本ではそもそも大勢の人が「写真付きの身分証明書」を所持していない。海外旅行をする機会がない人はパスポートを持っていないし、車を運転しない人には運転免許証がない。諸外国では一般的に官公庁がIDカードを発給しているので、多くの国の人々にとって身分を証明するものが手元にない状況こそが「ありえないこと」なのだ。
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