マクドナルド凋落で火が点いた「朝食争奪戦」 日本人にシリアルとドーナツは浸透するのか

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吉野家は「鶏そぼろ飯」と「豆腐ぶっかけ飯」を投入した

また、ほかの外食チェーン店の動きも見逃せない。代表的なのは吉野家だろう。吉野家の朝食は焼魚定食のイメージが大きいものの、加えて「鶏そぼろ飯」と「豆腐ぶっかけ飯」を投入した。

これも朝の需要をコンビニエンスストアから取り返す施策のひとつだ。加えて、前述のカルビーとグラノーラのコラボメニューを開発する上島珈琲などがある。

コメダ珈琲店とゆかいな同志たち

そして忘れてはならないのが、かつて地方コーヒーショップにすぎなかったコメダ珈琲店の存在だろう。コメダは名古屋で生まれ、名古屋の人たちは休日になるとモーニングを食べに行く定番店だ。スターバックスのようにセルフ方式でなく、昔ながらのウェイターオーダーの店だ。純喫茶のようにゆっくりとくつろぐ目的で来店する人は多く、シニアの利用も多い。

コメダが強みとしていたモーニングサービスによって、朝食需要の高まりとともに同社に破竹の勢いを与えたのは興味深い。名古屋地区以外の人は知らないかもしれないものの、同社は出店攻勢を強めている。

もともと昨年は610店舗程度だったが(現在は632店舗)、今期だけで90店舗弱もの新規出店を決めている。朝食需要に加えて、定年シニアがそれこそ毎朝のようにやってくる基盤はかなり強い。スターバックスやタリーズといった”カフェ”のスタイリッシュさを遠慮する層も、”喫茶店”であれば新聞と週刊誌をゆっくり読める。

一部報道によると、コメダは2016年にも上場申請する方向で準備が進められているという。株式公開して得た資金をもとにさらに拡大路線を歩もうとしている。現時点は非上場企業ゆえに業績は非公開だ。資本金は1億円程度だが、一部の報道によると営業利益率は20%弱という超優良企業だ。効率的な経営が続けば、朝食の世界で”喫茶店”が”カフェ”を切り崩すことにもなるだろう。

もちろん同社も安穏とはしていられない。すかいらーくなども珈琲店「むさしの森珈琲」をオープンさせ、独走を阻止しようとする。同じく、星乃珈琲店、ルノアールもあるし、大手が続々と同思考で迫る。どこまで珈琲店形態が拡大するかは未知数ではある。

外食を含め、食品メーカーも、小売りも、こぞって日本人の朝食を取り合おうとしている。私たちはこれから、マクドナルドのお株を奪って誰が一番旗を立てるかを見届けることになるだろう。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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